RNAすいすい-S+LiCl沈殿法
RNAすいすいシリーズは、『LiCl沈殿法』と組み合わせることも可能です。
多糖類の残存が多い場合などに有効な方法です。
通常のプロトコルにある「イソプロパノール沈殿」の代わりに行うだけなので、
ステップ数が増えることもありません。
お客様からプロトコル送付のご依頼をいただきましたので、これを機にご紹介します。
(このときの材料は、オオムギの完熟種子です。
『RNAに多糖類が多く残存してしまう』、というお悩み相談を受け、
2011年に検討しました。)
【プロトコール】
まずは常法(「RNAすいすい-S」の標準プロトコル)です。
1.チューブに400μlRNAすいすい-S、4μl 2-MEを入れ氷上に置く。
2.オオムギ完熟種子2粒をアルミホイルでくるみ、ペンチでつぶして1に加える。
さらにペッスルでつぶして混合する。
3.200μl酸性フェノール、150μlクロロホルムを加えて混合、氷上15分。
4.15000rpm、10分遠心
5.上清300μlを回収
6.等量の冷イソプロパノールを加えて混合、-20℃、30分
7.15000rpm、10分遠心
8.沈殿を400μl 70%エタノールで洗浄
9.50μlの水に溶解
次に、『LiCl沈殿法』を組み合わせる場合です。
1.~5.まで同じ
6.100μlの10M LiClを加え、-20℃、30分
7.15000rpm、10分遠心
8.沈殿を400μl 70%エタノールで洗浄
9.50μlの水に溶解
・・・あっけないほど簡単です。
電気泳動するとこんな感じになりました。
左が通常のプロトコル、右がLiCl法を組み合わせたものです。
低分子量領域の太いバンドが消えて、
全体として泳動像がきれいになっています。
沈殿の状態も、白っぽくて大きくて溶解しにくいものから、
小さめで透明感があって溶けやすいものに変わりました。
水溶性の多糖類を、うまく除去できたようです。
ご参考になれば幸いです!
澱粉の多い植物材料からのRNA抽出がすいすいできる、
「RNAすいすい-S」の製品ご案内ページはこちらです。
http://www.rizo.co.jp/RNA-S.html
<蛇足>
泳動写真がなぜオレンジ色なのか?
それは、手製のゲル撮影装置で撮影したからです。
(オレンジ色のアクリル板を通してデジカメで撮影)
必要であれば、画像処理で白黒にすることも、もちろんできます。
貧乏ラボのゲル撮影装置の作り方は、こちらの記事にて紹介しています。
http://rizo-inc.cocolog-nifty.com/blog/cat36785625/index.html
最近のコメント