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理科実験メモ

2014年2月12日 (水)

理科実験メモ⑩6年「水よう液の性質」後編

小学校の理科実験に詳しいリーゾスタッフに聴くシリーズ。

今回は、6年生で学習する「水よう液の性質」の実験についてレポートします。

その後編です。

 

塩酸や水酸化ナトリウムの水溶液に、金属片を入れて溶かした実験、覚えてますよね!

固いイメージの金属が、シュワシュワと泡を出しながら溶けていくことが不思議でした。

 

この学習では、

①「塩酸」に「アルミニウム」片を投入して、溶ける様子を観察し、

 

②完全に溶けたあとで、溶液を蒸発皿に入れて蒸発させ、

 

③析出した固形物を、もう一度塩酸に入れてみる

という実験を行います。

(1時間では無理なので、溶けるところまでで区切り、2回に分けて行います)

 

1回目の授業では溶けるところまででよいといっても、

45分の授業のうち、金属片を溶かすのに当てられる時間は約20分

この間に溶け切るようにしなくてはなりません。

 

このため、塩酸は、4Mくらいの、かなり濃いものを用意します。

(リトマス紙の実験の10倍くらいの濃さだよ!と危険性をアピールします)

さらに、金属片の方は、サンドペーパーで磨いて、傷をたくさんつけておき

反応が早く始まるようにします。

 

2回めの実験では、金属が溶けたあとの溶液を、

 

「駒込ピペット」(初登場!)で吸い取り、

蒸発皿に移して実験用ガスコンロにかけ、蒸発させます。

すると、白い粉状の物質がでてきます。

 

さて、これは溶かしたアルミニウムがもう一度出てきたのでしょうか?

それとも、違う物質でしょうか?

 

それを確認するために、白い粉をスパーテルでこそぎ取り、

新しい塩酸を入れた試験管の中に加えて混ぜます。

アルミニウムなら、泡を出して溶けるはず、ですよね。

 

白い粉は、塩酸の中に分散しますが、泡は出ないので、

「アルミニウムは、塩酸に溶けて、別のものに変わった」

ということになります。

 

このあと、溶液を「水酸化ナトリウム水溶液」に変えて、

金属も「アルミニウム」のほか「鉄」だとどうだろう?となり、

同様の実験を行っていきます。

 

最後に(ちょっとつながりが分かりにくいんですが)、

二酸化炭素を水に溶かしてみよう!という実験があります。

(「いろはす」のような)ペコペコで薄いペットボトルに水を満たし、

CO2ボンベの二酸化炭素を水上置換で半分ほど入れて、キャップを締めます。

 

そのボトルをシャカシャカ振ると・・・あら不思議!

ボトルがぺっちゃんこにつぶれてしまいます。

 

二酸化炭素が水に溶け込み、体積が減ったからなんですね。

二酸化炭素は、水によく溶けることがわかります。

この実験は、全員がやりたがるので、ペットボトル持参で、

ひとり1回やらせてもらえるそうです(私もやってみたい!)。

 

以上で実験は終わりです。

この実験にも、支援員泣かせの落とし穴が・・・。

 

×金属片を入れた後、反応が始まるまでがつまらない!

あまりのつまらなさに、興味を失ってしまっては困ります。

泡が出始めれば面白くなるので、できるだけ早く反応が始まるように、

傷をつけたり、アルミ片の代わりにアルミ箔を丸めたものを使ったり、

鉄の場合はスチールウールを使ったり・・・とくふうします。

 

×時間内にアルミ片が溶けてくれない!

予備実験で、溶けきるまでの時間を測り、これなら大丈夫、と思っていても、

当日の気温が低かったりすると(そうでなくても理科室は寒い)、

予想外に反応時間がかかってしまうこともあるそうです。

そういう場合は、仕方がないので、給食の時間などに「溶けたよ~」と見せに行くとか。

 

×溶液の中に子どもたちがいろんなものを入れてしまう

「これは溶けるかな?」と気になってしまうのはしょうがないですよね。

終わった後、試験管の中には、(消しゴムのかすなど)いろんなものが入ってるそうです。

まあ、大概は問題ないようですが。

 

×終わった後の洗い物が大変・・・。

試験管やビーカーが大量に出る実験。

冬の理科室での洗い物は、なかなかたいへんな作業です。

 

応用編としては、

中身を伏せた水溶液を複数用意し、

 

リトマス紙、金属片、蒸発皿を使って、中身を当てる、というゲームができます。

研究授業などで採用する先生もいらっしゃるようですよ。

(このときの注意点はやっぱり「炭酸水」!

泡で中身がばれないようにすることと、

鮮度を保つことの両立ななかなか難しそうです。)

 

蛇足ですが・・・

『別のものに変わった』という言い回し、

5年生の実験での『溶ける量には限りがある』という言い回しもそうなんですが、

・・・なんとなく哲学的で、意味ありげな感じがするのは私だけでしょうか?

 

小学校の理科支援員の経験を持つリーゾスタッフに、

インタビューしながらご紹介してきたこのコーナー、今回で終了!となります。

(ブログの方は、もちろん続きます)

ご愛読、ありがとうございました!

 

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http://rizo.co.jp/

 

 

 

 

2014年1月28日 (火)

理科実験メモ⑩6年「水よう液の性質」前編

小学校の理科実験に詳しいリーゾスタッフに聴くシリーズ。

今回は、6年生で学習する「水よう液の性質」の実験についてレポートします。

 

この単元は、5年生の「もののとけ方」の続編的な位置づけになります。

「もののとけ方」で、水溶液というものは、ものが溶けて透明になった水、と習いました。

 

身の回りや、理科で扱ったものの中には、どんな水溶液があるかな?と考えてみると、

食塩水

砂糖水

ほう酸の水溶液

お酢

洗剤液(透明なもの)

石灰水

水酸化ナトリウムの水溶液

塩酸

ただの水(・・・?)

などが出てきます。

 

洗剤のラベルなどをみると、「アルカリ性」「中性」とか書いてあり、

アルカリ性の反対は酸性だけど、それはどうやって調べられるかな?

と誘導して、「リトマス試験紙で調べられるね」に持っていきます。

 

というわけで、実験に入ります。

いろいろな水溶液を、青色と赤色のリトマス紙につけて、色の変化を調べ、

結果をまとめていくだけの実験なのですが、

液体がたくさんあると混乱してしまうので、こんなワークシートを作ります。

1

プリントに枠を印刷し、リトマス紙をセロテープで貼り付けて作ります。

本当は生徒に作らせたいところですが・・・

ピンセットでリトマス紙を1枚ずつ取り出すだけでも大仕事になってしまうので、

支援員さんがあらかじめ作っておくことが多いそうです。

 

調べる水溶液(通常9種類)の方は、ラベルを貼った試験管に用意し、

試験管立てに立てたものを、班ごとに配ります。

ガラス棒を水溶液に浸し、リトマス紙に1滴ずつたらして変化を見ます。

大体こんな感じ。

2

リトマス紙、懐かしいですね・・・。

弱酸性と酸性、アルカリ性と弱アルカリ性の違い、ちゃんとわかるかな?

 

この実験には大きな落とし穴がありまして、

『炭酸水は時間が経つとアルカリ性を示してしまうことがある』

ので要注意!だそうです。

炭酸水としては、市販の発泡性ミネラルウォーターを使い、

できるだけ小瓶を数多く用意するようにして、新しいうちに使うのですが、

開けたてのものでないとうまく弱酸性の結果にならない・・・。

もしかしたら、ミネラル分(カルシウム、ナトリウムなど)のせいかもしれませんが、

CO2ボンベと純水で炭酸水を作るのも大変だし・・・悩ましいようです。

 

そのほかにも、いろいろと小さな落とし穴があります。

×理科室には(状態の良い)試験管が足りない

4人ずつ9班に分かれての授業なら、9×9=81本の試験管が必要ですが、

きれいな状態の試験管を揃えるのは難しい・・・。

石灰がこびりついていたりするので、まずは洗う仕事から始まります。

×学校の試験管立てには5本しか入らないことが多い

ということで、水溶液も5種類のみで進める先生もいらっしゃるようです。

じゃあ、ビーカーにすればいいんじゃないか?と思うところですが、

×ビーカーはますます足りない

×かといって、水溶液入りのビーカーを各班に回して使うのはいろいろと危険

なんだそうです。

 

蛇足ですが、この単元では、薬品の基本的な取り扱い方を学習します。

例えば、危険な薬品を使用するときは、保護めがねをかけるとか。

(今の学校には、保護めがねは人数分備えられているそうです。昔はなかったですよね。)

あとは、においをかぐときには、手で仰いでかぐとか。

(理系の人間はこの癖が抜けず、料理のときにもこれでやってしまいますよね。)

 

さらに蛇足ですが・・・

「リトマス紙」って、「リトマスゴケ」というコケの抽出液から作られたからリトマス紙っていうそうですよ。

 

水溶液の性質の学習は、後編へ続きます。

いよいよ、濃~い酸・アルカリで、金属をシュワシュワ溶かす実験が登場します!

 

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2014年1月 3日 (金)

理科実験メモ 5年「ふりこのはたらき」

小学校の理科実験に詳しいリーゾスタッフに聴くシリーズ。

今回は、5年生の「ふりこのはたらき」の実験についてレポートします。

 

さっそくですが、いわゆる「振り子」が一往復するのにかかる時間は、何で決まるのか、

覚えていますか?

 

5年生に、自由に考えを発表してもらうと、

「おもりを最初に高く持ち上げると早くなるんじゃないか(=振れ幅)」とか、

「糸の長さを変えたら変わりそう」とか、

「おもりが重いほうが早いに決まってる!」とか、

いろいろな意見が出てきます。

まあ、これ以外にも出るのでしょうが、実験の都合上、この3つに集約させて、

いよいよ実験に入ります。

 

まず、実験に使う振り子の装置を作ります。

用意するものは、タコ糸、おもり、スタンド、分度器の拡大コピー、クリップです。

 

振り子は、タコ糸の先におもりをくっつけて作ります。

おもりとしては、ビー玉のほか、ほぼ同じ大きさで重さの違うもの

(中が空洞のプラスチック球、スーパーボールなど)を3段階で用意します。

 

おもりをつるす台には、理科室にある「スタンド」を利用します。

スタンドにクランプで横棒を取り付け、横棒にクリップでタコ糸を留めて振り子にします

(クリップで留めておけば、糸の長さを変えやすいです)。

 

振れ幅を計るために、分度器を拡大コピーしたものを厚紙に貼り、

クリップの位置にあわせて固定します。

分度器の角度の表示は端からになっているのですが、

この実験では垂直下向きからの角度を測りたいので、

角度の表示を書き直しておくとスムーズです。

 

(下手なイラストで恐縮ですが、実験装置の概略図です。)

1

これで振り子の装置は完成。いよいよ実験です。

班ごとに、「ストップウオッチ係」「角度(をチェックする)係」「おもりを持つ係」「記録係」を決め、

チームワークで実験します。

ひとつの条件ごとに、振り子が10往復する時間を、ストップウオッチで計測し、

同じ実験を5回行って平均を取ります(意外と本格的!)。

 

まずは振れ幅。例えば「15度」と「30度」の2通りで実験します。

この結果は、「変わらない」になるのが正解ですね。

 

次に、糸の長さ。振れ幅は一定とし、例えば、25センチ、50センチ、100センチの3通りで実験します。

この結果は、「変わる」(糸が長いほど時間が長くなる)となります。

 

次に、おもりの重さ。糸の長さと振れ幅は一定とし、軽いもの、中間のもの、重いもので試します。

この結果は、「変わらない」になるのが正解です。

 

つまり、「振り子が一往復するのにかかる時間は、糸の長さによって変わるが、

 おもりの重さや振れ幅によっては変わらない」という結果が導かれます。

 

物理が苦手な方でも、メトロノームや、振り子時計を思い出せば、

「ああそうか」と納得できるのではないでしょうか。

いわゆる、『振り子の等時性』ですね。

子供たちにとっては、ちょっと意外な結果なようです。

 

この実験の落とし穴としては、

×)タコ糸の先におもりがなかなかくっつかない・・・。

→コツとしては、ビー玉に両面テープを一周巻き、タコ糸をかけてから、

ガムテープで止める、のがよいそうです。

×)理科室のスタンドに問題が・・・

→数が足りない、さびて汚い、ねじや棒がない、など、とにかく状態が悪いことが多いので、

あらかじめチェックし、必要に応じて磨いたり修理したりしておきます。

×)振り子を振る方向が斜めになり、分度器にぶつかる

→まあこれは、何度か練習すればたいてい解決するようです。

×)球状で、大きさがほぼ同じで、重さが適度に違うおもりがなかなかない

→何かいいものがありましたら、ぜひ教えてください。

(ネットで調べると、球状にこだわらず、フィルムケース等を使う先生もいらっしゃるようです)

 

班のメンバー、それぞれ自分の役割を真剣にこなしつつ、

全員振り子の揺れに合わせて顔が左右に動いてしまうのが、

先生から見ているととてもかわいく微笑ましいとか。

「(振り子の往復にかかる時間が)同じ」と言い切るには正確な計測が不可欠ですが、

力を合わせてきれいなデータを出せたら、チームの一体感が生まれて気持ちがいいでしょうね~。

 

蛇足ですが、振り子といえばブランコ、ブランコといえば、

「アルプスの少女ハイジ」のオープニングでハイジが乗っているブランコ、

を思い出すのは私だけでしょうか?

あの長さのブランコだと、一往復するのにずいぶん時間がかかることになりますね・・・。

 

実はこのあと、6年生でも中学校でも「振り子の等時性」の続きは出てきません

(振り子自体は中学理科の「力学的エネルギー保存則」でちょろっと登場しますが)。

なぜここで等時性?と、なんだか不思議な単元なのですが、

中学入試には頻出するそうです。

ともあれ、5年理科唯一の力学分野。物理ってあとで苦手になる人が多いだけに、

自分の目で見てしっかり理解しておいて欲しいと思います!

 

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2013年11月21日 (木)

理科実験メモ⑧6年「体のつくりとはたらき」

小学校の理科実験に詳しいリーゾスタッフに聴くシリーズ。

今回は、6年生で学ぶ「体のつくりとはたらき」の実験についてレポートします。

 

この単元のメインテーマは「動物が生きていくためには何が必要か?」。

命を支える体のつくりとはたらきを学びます。

 

生きていくのに必要なもの、というと哲学的になりそうですが・・・

ざっくりと、「空気」「食べ物と水」「血液」にわけ、

それぞれについて実験や観察を行っていきます。

 

まずは「空気」。

酸素を取り込み、二酸化炭素を吐き出す、ということは、まだ子供たちは知らないのですが、

教科書を見てみると「そんな話を聞いたことがある」→「二酸化炭素なら調べ方を習ったよね」

という風に話を持っていくようですね(・・・誘導?)。

 

二酸化炭素の調べ方は、前の単元「ものの燃え方」で、

石灰水と混ぜると白く濁る、ということを習っているので、

吐く息をビニール袋に集めて石灰水を混ぜて濁ることを確認します。

「吸う息」の方は、目の前の空間の空気をビニール袋に集めて同様に実験します

(「吸う息」=「目の前の空気」とわかってもらえない子がときどきいるとか。確かに悩みそう)。

吸う息は濁らず、吐いた息は濁る。

これはかなりはっきりと、違いが目に見えるそうです。

 

酸素の方は、調べるのがちょっと難しく、「気体検知管」という道具を使います。

見た目はメスピペットのような、目盛りつきの管をポンプの先につけて、

空気を管に通すと、目盛の色が変わって酸素濃度を示す、というものです。

これも、吸う息(そのへんの空気)と吐いた息(ビニールに集めておく)の2通りを実験して違いを見ます。

だいたい、吸う息で21%、吐く息で17%くらいになります。

 

二酸化炭素用の検知管もあります。

こちらの方は、吸う息で0.03%以下、吐いた息で4%程度になります。

酸素が二酸化炭素になるわけですから、足すとどちらも約21%。

残りの79%は窒素、というわけです。

 

ここまでの「落とし穴」は、

・理科室の石灰水はもとから濁っていることがある→ろ過すればいいんですけど。

・空気検知管用のポンプの台数が限られている→石灰水実験が先になった班は、ビニール袋がびしょびしょになる

・酸素用の検知管は高いのでクラス代表で1回しか実験できない

・酸素用の検知管はとても熱くなるので、ビニール袋の口を手で押さえているとやけどする

などがあるそうです。

 

体の中で、酸素と二酸化炭素が交換されることを実感したところで、

その仕組み(肺の構造)について、教科書やDVDで学びます。

で、次に「食べ物と水」の実験へ・・・。

 

食べ物が消化される仕組みのなかで、一番実験しやすいもの、ということで定番なのが、

「ご飯粒を唾液と混ぜてヨウ素澱粉反応を見る」という実験です。

これ は昔から変わりません。

が、昔は口の中でご飯をもぐもぐして、ぺっと出したもので実験してましたが、

今はそれは禁止!(いじめにつながる・・・とかいろいろ理由があるようです)

 

で、どうするかというと、ご飯粒をスライドグラスの上でつぶして広げておき、

そこに唾液をたらして混ぜます。

というと簡単そうですが、「唾液をたらす」というのが難しい・・・。

まず、女子は気持ち悪がってやりたがらず、多くの場合じゃんけんで負けた男子が担当することに。

でも、プレッシャーを感じて出るものも出なくなり、しまいに泣き出す子もいるとか・・・。

聴いてるだけで切ないですねえ。

(かといって、先生のをあげようか?と申し出ても、なかなか受け入れてもらえないそうで、

難しい年頃の6年生です)

 

ご飯と唾液を混ぜたら、(ラボなら37℃のインキュベータに放り込むところですが、ないので)

「プリンカップ」(透明のプラスチックのもの)に45℃くらいのお湯を入れ、スライドグラスを上に置きます。

スライドグラスは、唾液ありとなしの2枚なので、ちょうどプリンカップに蓋ができる状態になります。

 

5分~10分置いたら、ヨウ素溶液をたらして色の変化を見ます。

ご飯粒だけの方は青紫色になります。

唾液と混ぜた方は、やはり青紫色がちになるのですが、

澱粉が分解して黄色のままになっている部分があれば成功とします。

 

うまく差を出すためのポイントは、

・泡立ってない唾液(!)を使うこと

・できるだけ早く唾液を混ぜる→反応時間を確保する

・ご飯粒は2分の1粒程度をちゃんとつぶす(つぶれていないところは青紫のままになる)

 

ちなみに、プリンカップは大きさが絶妙で、

ビーカーを使うとスライドグラス2枚では蓋ができず、

またスライドグラスが中に落ちやすいのでダメだそうです。

 

この実験の落とし穴としては、唾液が出ないほかに、

・先生がご飯粒の用意を忘れる(こういうときに限って給食がパン)

がありがち。

でも、ベテラン支援員さんには想定内。ちゃんと持参しておくので大丈夫です。

 

最後の「血液」については、生きたメダカのしっぽを顕微鏡で観察して血液の流れを見ますが、

DVDで代用のことが多いようです。

ちなみに、リーゾで飼っていた「透明金魚」が小学校の授業に登場し、大人気を博したのもこの単元の時間でした。

 

ご飯をよくかむと甘く感じる、と言うのは今はわかりますが、

子供の頃は甘く感じる前に消滅して(飲み込んで)しまってぜんぜん分からなかった記憶があります。

 

唾液の実験を「きもい!」と言ってしまう子供、

そう言われて唾液を出せず泣いてしまう子供。

どちらも気持ちはわかるけど、理系(生物系)の大人には切ない話ですね・・・。

唾液自体は極めて清潔で、かつ重要なものです(出なくなったらそれこそ大変!)。

生物系のプロたるもの、そのあたりをきちんと伝えなくちゃなあ、と感じました。

 

上記記事中でご紹介した「透明金魚くん、小学校へ」のブログ記事はこちらです

http://rizo-inc.cocolog-nifty.com/blog/2012/06/post-60b8.html

(現在は、透明金魚の貸し出しは行っていません)

 

 

リーゾのHPはこちらです。

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2013年10月15日 (火)

理科実験メモ⑦もののとけ方(後編)

小学校の理科実験に詳しいリーゾスタッフに聞くシリーズ。

5年生の冬に学ぶ「もののとけ方」について聞いた、後編です。

 

前編では、

「ものが水に溶けてもなくなるわけではない」

「水に溶ける量はものによって違う」

ことを、実験によって学びました。

 

次の疑問は、

「水にものをもっと溶かすにはどうしたらいいか?」。

 

子供たちに聞いてみると、いろいろ意見が出てきますが、

「温めたらいいんじゃない?」

「水をふやしたらいいんじゃない?」

というふたつの意見に集約させます(ここは先生の腕の見せ所)。

 

水を増やすのは、メスシリンダーで量った水を加えてかきまぜればいいですよね。

温めるには、アルコールランプか、実験用ガスコンロを使います。

 

溶かす「もの」は、食塩とほう酸のふたつ、試す方法もふたつなので、

条件制御の考え方から、

・食塩+水を増やす

・食塩+温める

・ほう酸+水を増やす

・ほう酸+温める

の4通りの実験になります。

 

ここで陥りやすい落とし穴は、

「全部の班に、水を増やすと温める、両方の実験をさせてあげたい」と思う親心。

 

例えば、「食塩+水を増やす」「ほう酸+温める」の二つだと、

「両方溶ける」という結果になりますが、

「ほう酸+水を増やす」「食塩+温める」の二つだと、

「両方溶けない(溶けにくい)」になってしまいます。

(食塩は室温でもそこそこ溶けますが、加熱しても溶ける量はほとんど増えません。

ほう酸はそもそも水に溶ける量が少ないものの、加熱により数倍まで増えます)

【参考になるサイト】溶解度曲線

http://www.saitama-u.ac.jp/ashida/calcgrap/apadj009.html

 

水を増やすと溶ける量が増えるもの(食塩)と、

温めると溶ける量が増えるもの(ほう酸)の両方がある、

という結論に導きたいわけですが、

実験内容をうまく配分しないと子供たちが混乱しちゃうそうです。

(結果が「溶けない」ばっかりだと、テンション下がりますしね・・・。)

 

ともあれ、水を増やしたり、温めたりすると、溶ける量が増えることがわかりました。

次なる疑問は、「水に溶けたものを、もう一度取り出すことはできるのか?」です。

 

水を増やすと溶けたのだから、水を減らせば出てくるはず。

これを確かめるために、水溶液を「蒸発皿」に載せて、火にかけて乾かす実験をします。

 

また、温めれば溶けたのだから、冷やしても出てくるはず。

これを確かめるために、氷と食塩を混ぜたものにビーカーをつけて、析出させる実験もします。

(実はこんなことをしなくても、一週間前にほう酸を溶かした水が入っていた容器の中には、

自然に析出したほう酸が固まっています。

「漏斗台」に「漏斗」を乗せ、「ろ紙」を折ってセットし、ろ過することで、

取り出すことができます。)

 

これで、「もののとけ方」の一連の実験は終了です。

後半の実験の、その他の落とし穴としては、

・漏斗台が壊れているか、なぜか存在しないことが多い

・ほう酸が析出した溶液をろ紙に一気に注いであふれさせる男子が必ずいる(女の子に怒られる)

・冷やして析出させる実験では、氷程度では出ない。

氷+食塩でも1時間以上かかるので、析出させた模擬サンプルを用意しておく。

(うまく析出すると、それは美しいそうですよ!)

 

水溶液の実験は、洗い物が多くて後片付けが大変だそうです。

特に、ほう酸が固まったガラス容器は、煮ないと取れず、支援員泣かせです。

そんな苦労があることも、子供たちには知っておいて欲しいですよね~。

 

このテーマの学習は、6年生の「水よう液の性質」へと続いていきます。

ひとつひとつ積み重ねながら、「化学」の世界に入っていくんですね。

がんばれ子供たち!(・・・先生も!!)

 

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2013年9月18日 (水)

理科実験メモ⑥もののとけ方(前編)

小学校の理科実験に詳しいリーゾスタッフに聞くシリーズ。

今回は、5年生の冬に学ぶ「もののとけ方」について聞きました。

 

「ものがとける」とは、もちろん「水に溶ける」という意味です。

食塩や砂糖、コーヒーシュガーをコップの水に加えると、とりあえず沈みます。

そのままずっと置いておいたり、スプーンでかき回したりすると、溶けます。

水に入れたものが溶けて、透明になったら、それは「水よう液」。

色がついていても、透明ならば、やはり「水よう液」です。

 

ここで「水よう液は、どれでしょう?」クイズ!

ペットボトルに水と、

「ケチャップ」、「マヨネーズ」「納豆(!)」、「インク」、「絵の具」などを入れて、振り混ぜます。

水よう液の条件は、「均一」かつ「透明」。

この条件に合うものを、探します。

(絵の具は均一だけど透明にはならないので、水よう液ではないんですね)

 

ものが水に溶ける様子を観察できる、簡単な実験があります。

不織布のお茶パックに、食塩や砂糖を入れ、割り箸で挟みます。

トールビーカーに水を入れて、割り箸をビーカーに渡すようにして、

お茶パックを水に浸します。

1

すると、お茶パックから水の中へ、

もやもやと波打つように何かが溶けながら沈んでいく様子が見られます。

2

肉眼でもかなりきれいに観察できるので、子供たちから「おおー!」と声があがるそうです。

「水に溶ける」が実感できて、つかみはばっちり!

もやもやが見えるのは、透明な水と、ものが溶けた水では屈折率が違うからです。

これを、『シュリーレン現象』といいます。

(ちなみにシュリーレンは人の名前ではなく、ドイツ語で「むら」という意味だそうですよ)

・・・もちろんこれは大人向けの説明で、子供たちには言いません。

 

水にものが溶けて透明になることはわかりましたが、

じゃあ、溶けたものはどこに行ってしまったのでしょうか?

なくなってしまったんでしょうか?・・・まさか!  

 

「じゃあ、溶ける前と後で、重さがどうなるか、確かめてみましょう」

というわけで、次の実験です。   

 

やることはとてもシンプル。

電子天秤の上に、ビーカーに入れた水、薬包紙にのせた食塩を載せて、重さを量ります。

次に、食塩をビーカーの中に入れて完全に溶かしたあとで、 もう一度、重さを量ります。

塩が水に溶けるとなくなってしまうなら、後のほうが、軽くなるはずですよね。

3

電子天秤は数が足りないので、上皿天秤を使う班もあります。

が、これがまた大変・・・(後述)。

 

すでにお分かりの通り、この実験では、「変わらない」が正解なので、

なんとかがんばって、「変わらない」という結論に持って行くようにします。

 

ここまで来たら、次なる疑問は、「水にはものが限りなく溶けるのか?」 まさか!

・・・でも、確かめてみなくっちゃ。

というわけで、次の実験です。

 

まず、メスシリンダー(初登場!)で、50mlの水を正確に量ります。

48mlまで入れて、そのあとは「スポイト」で合わせていくんだそうですよ。

もちろん、目盛りを「真横から見ながら」です。真剣そのものです。

量り取れたら、乾いたビーカーに移します。

一方で、食塩5gを量りとります。

食塩5gを50mlの水に入れてガラス棒でかき混ぜると・・・溶けました!

表の「1回目」にマルをつけて、次の5gを量りとって同様に溶かします。

溶けたらマルをして、3回目、4回目に進みます。

食塩の溶解度は50mlの水に18g程度なので、4回目で溶けなくなります。

これで、「溶ける量には限りがあった!」という結論に導きます。

 

他のものだとどうだろう? ・・・ということで、登場するのは、なぜか砂糖ではなく「ホウ酸」。

同じように実験してみると、ホウ酸は、1回目ですでに溶け残ります。

「溶ける量は、ものによって違う!」ことがわかります。

 

じゃあ、もっと溶かすにはどうしたらいい?と聞いて、

「温めると溶けるんじゃないか?」 

「水を増やせば溶けるんじゃないか?」

という意見が出たところで、次の実験ですが、長さの都合で続きは次号・・・。

 

さて、恒例の「落とし穴」ですが、

・溶かした後、薬包紙を載せ忘れて「軽くなった!」と結論する子が出る。

・学校の上皿天秤は狂っていてなかなか水平になってくれない。

・重い分銅はピンセットで持てなくて落としたり、指でつまんだりする。

・微量調整用のペラペラした分銅を飛ばしてしまう子が出る。

・その結果、分銅セットがすべてそろっていることが稀。

・「重いほうから載せて軽いものに変えていく」というのがなかなか理解できない。

・右利きは右の皿、左利きは左の皿に分銅を載せないと、やりにくい。

・メスシリンダーに食塩をぶちこむ子が出る。

・こぼれた食塩をなめちゃう。

・ホウ酸は薬品だからなめない!と言ってもなめちゃう子が出る。

 

理科室にあるものは、基本的に口に入れない方がいいと思いますけど・・・。

子供はかわいいですねえ。

 

塩とくれば砂糖、としたいところですが、

お砂糖は水に限りなく溶けてしまうのでダメなんですね。

(食べちゃう子も出そうですしね。 )

 

話を聞いてたら、「上皿天秤」が欲しくなってしまいました。

ピンセットで分銅を入れ替えながら、つりあいの取れるところを探していく・・・。

電子天秤なら一瞬だけど、たまには贅沢に時間を使った秤量もしてみたい・・・

と思うのは変でしょうか。

 

次回は、後編をお送りします。

水にものをもっと溶かすにはどうしたらいいか?

そして、溶かしたものを取り出すことはできるのか?

を確かめる実験をやります。

お楽しみに!

 

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2013年8月27日 (火)

理科実験メモ⑤ 電磁石のはたらき その2

小学校の理科実験に詳しいリーゾスタッフに聞くシリーズ第5弾。

5年生の秋に習う、「電磁石のはたらき」の実験についてのレポート、後編です。

電磁石の性質の基本を体感できたところで、ちょっと難しいことを考えます。

「電磁石を、強くするには、どうしたらいいか?」

 

電磁石だから、

「電流をたくさん流せば、強くなりそう!」

ですよね。

強力電磁石を思い出してみると、

「コイルをたくさん巻くと、強くなりそう!」

ですよね。

子供たちからこのような意見が出たところで、実験再開!

 

電流を増やすには、電池を2個にすればいいので、

1個の場合と2個の場合で比較

コイルの巻き数は、100回巻きは作ったので、200回巻きと比べてみればいいですね

(キットの中には、200回巻きコイルがちゃんと入っています)。

 

ふたつの因子に着目するので、ここでも、「条件制御」が重要になってきます。

 

(1)電池の数もコイルの数も変えない(1個、100回)。

(2)電池の数は変えずに、コイルの巻き数だけ変える(1個、200回)。 

(3)コイルの巻き数は変えずに、電池の数だけ変える(2個、100回)。

(4)両方変える(2個、200回)。

これで、磁石の力がどう変わるかを調べます。

 

でも、磁石の力の強さってどう測るんだろう・・・?と思いませんか?

(私は思いきり聞いてしまいました) 

磁石にくっつく「くぎの数」で比較するんですって!!!

・・・そういえば、磁石にくぎをくっつけると、つながってくっつくんですよね~。

やったやった、やりました(電磁石じゃなくてU磁石でしたけど)。

ちなみに、つながってるかどうかは特に気にせず、だいたいの数で比較するそうです。

電流の強さは、(電池が消耗してたりすると不正確になるため)電流計を使って確かめます。

(電流計は、5年生のこの実験で初登場です)

 

この実験は、けっこう時間がかかるので、理科実験2回費やします。

電磁石の実験、意外と長いです。

 

最後におまけとして「モーター」の原理を学びます。

キットには、エナメル線で作るミニモーターがついています。

真ん中のコイルの部分を磁石ではさみ、電流を流すと電磁石になり、

磁石に対する反発力で半回転します。

導線と接触する部分のエナメル線は半周分しかエナメルをはがしていないので

(反対側は全部はがしてあります)、

半回転すると電気が流れなくなり、慣性力でもう半回転します。

そうすると再び電気が流れて電磁石になり、反発力で半回転・・・

を繰り返して、くるくる回るという仕組みです。

シンプルな構造ながら、意外と、ちゃんと回るそうですよ。

 

説明だけではわかりにくいと思いますので、

図を描いてみました(下手な図で、かえってわかりにくいかもですが)。

1_2

もちろん、本当のモーターは慣性力を使わず、

半回転すると電極が切り替わって、

残りの半回転も反発力で回るようになっています。

(そうでないと力が出ないですよね!) 

 

身近なところにたくさん使われているモーターの仕組みがわかって、

科学と生活がつながっていることを感じますよね。

小さなモーターを使った科学おもちゃのキットもいろいろありますし、

この授業をきっかけに、ロボット作りに目覚める子供も多いかも?

 

電磁石の実験キットがあったら、ひとしきり遊べそう・・・。

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2013年8月 2日 (金)

理科実験メモ④ 電磁石のはたらき(その1)

小学校の理科実験に詳しいリーゾスタッフに聞くシリーズ第4弾。

今回は、5年生の秋に習う、「電磁石のはたらき」の実験についてまとめてみました。

かなり内容が多いので、前編後編に分けてレポートします。

 

おなじみの「磁石」ですが、「電」がつくと何が違うんだろう?

「電磁石」も磁石だけれど、「電気が流れたときにだけ」磁石になる。

まずはこのことを学びます。

 

これが実感できるのが、「強力電磁石でぶらさがろう!」実験。

乾電池1個で、人がぶら下がれるほど強力な磁石ができるんです。

「電磁石ってすごい!」という感動が、「何で?」という興味につながっていきます。

(※強力電磁石については、強力電磁石+画像で検索すると、

実際に教室でぶら下がっている画像が見られます)

 

つぎに、実際に電磁石を作ってみます。

いわゆる「100回巻きコイル」です。

キットには、200回巻きは入っているけど100回巻きはないので自分でやります。

鉄芯に、エナメル線を100回数えながら巻いていくだけなのですが、

意外と難しく時間がかかるそうです(教え方のコツは後述)。

 

ここまでできたら、電流を通すわけですが、

エナメル線はエナメルでコーティングされていますから、

端っこだけ紙やすりではがします(ここのコツも後述)。

 

いよいよ電流を通してみます!

電池につなぐと、コイルは電磁石になりますから、「極」(N極とS極ですね)ができます。

まずはこのことを、方位磁針で確かめます。  

 

次に、「電流の向きを変えたらどうなるか?」を調べます。

電流の向きを変えるには、電池を逆にすればいいので簡単。

方位磁針を近づけて、さっきとは逆の極になっていることを確かめます。

 

以上の実験を、2時間の理科×2回で行います。

書いてしまうと簡単そうですが、やはりいろいろなところにうまくいかない落とし穴があるようです。

以下、注意すべきポイントと、スムーズに進めるコツです!

 

1)ぶら下がり実験について

鉄棒やうんてい、教室の鴨居などを使いますが、

老朽化した校舎だと、ぶら下がれる場所を探すのがたいへん。

事前に自分の体重をかけて、ぼきっといかないことを確かめておきましょう。

 

2)100回巻きコイルをスムーズに作らせるためのポイントはふたつ。

☆エナメル線の引っ張り出し方。

すーっと出る方向と、ひっかかる方向があり、

引っかかる方で出し始めてしまうとにっちもさっちも行かなくなるようです。

☆「少し巻いたら端につめる」を繰り返す。

つめながら巻いて、端まで行ったら折り返しで上に重ねるように巻く。

ダンゴにならないようにするためのコツですが、これが意外とと難しいようです。

3)エナメルを端っこだけはがすとき

ここも、机に置いてこするとうまくいかない(半分だけはがれて、接触不良になりやすい)

手に持って、エナメル線を紙やすりではさむようにしてこするとうまくいきます。

4)方位磁針を近づけるとき

電磁石(コイル)と並行に、横から近づけていくと問題ないのですが、

子供によっては正面から近づけたり、上(空中!)から近づけたりする子も。

方位磁針がなぜか回りだしてうまくいかないこともあるそうです。

「机に置いたまま」、「横から近づける」、を強調して伝えます。

 

電磁気学には大学時代に苦労した記憶のある筆者、

その後できるだけその分野には近づかないようにしていました・・・。

久しぶりに聞いてみると、なかなか面白いじゃないですか。

こんな形で、分野違いの実験の楽しさを再発見できてラッキーでした。

 

電磁石実験はかなり内容にボリュームがありますので、前編はここまで。

次回の後編では、電磁石の磁力を強くする条件を探る実験をして、

モーターの原理を学びます!

 

前回の、「植物の成長と日光や水のかかわり」 のレポートについて、

すいすい通信読者で実験補助者でお母さんでもある方より、

「ちょうど6年生の子供が学校でやったところで、実験の話で盛り上がれました!」

と喜びのコメントをいただきました。

もともとは、子供向け実験教室などを頼まれることもある研究者さんへの、

参考になればと始めた企画だったのですが、

そんな効用もあるのか~、と改めてうれしく思いました。

 

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2013年6月14日 (金)

理科実験メモ③ 植物の成長と日光や水とのかかわり

小学校での理科実験に詳しいリーゾスタッフに聞く、シリーズ第3弾。

今回は、6年生で学ぶ、「植物の成長と日光や水のかかわり」の実験についてまとめてみました。

植物、日光、といえば・・・光合成!。懐かしい響きですね。

光合成とは何か、については、読者の中にプロの研究者が多いので、うかつなことは書けません。

ごく普通に、「植物が光のエネルギーを使って二酸化炭素から澱粉を作る作用」、

という説明で、お茶を濁させていただきます(誰でも知ってる範囲ですね・・・^^;)。

 

実験自体は、1時間で終了できるものなのですが、先生(支援員)の作業は2日掛かりです

天気予報を見て、晴天が2日続く日を選びます。

うまく理科のある日に当たるとラッキーですが、そうでないときは、先生と相談して調整してもらうそうです。

 

まず、実験前日の昼過ぎに、花壇で育てているジャガイモの葉っぱ3枚に、1枚ずつ、アルミホイルをかぶせます。

3枚の葉っぱのうち、「ア」はそのまま、「イ」は端に四角の切り込み、「ウ」は端に三角の切り込みを入れてから、ホイルをかぶせます。

1

後でどれだかわからなくなると困るので、ホイルにマジックで「ア」「イ」「ウ」と書いておきます。

簡単そうに聞こえますが、やるのは6月~7月の晴天の日。

しかも日当たりのいい花壇にしゃがんでの作業。灼熱です・・・。

1班に3枚なので、9班×2クラスあると、54枚もの葉っぱにアルミホイルをかけることに。

もう汗だく。そのうえ、枚数が多いとちょうどよい大きさの葉が足りないことも。

ここで、「・・・1班あたり2枚ずつでもいいんじゃないか?」と悪魔のささやきが聞こえたりして。

でも3枚であることには、実は非常に重要な意味があるのです(後述)。

 

ともあれ、前日の作業はこれで終了です。

実験当日の朝(1時間目のあたり)に、「ア」の葉っぱをアルミホイルごとつみとり、涼しい場所に保存しておきます。

「イ」の葉っぱは、アルミホイルをはずします。

「ウ」は何もせず、そのまま(アルミホイルをかぶせたまま)にしておきます。

できればその状態で、4~5時間、日に当てることができれば理想です。

 

そして4時間目、理想的には5時間目か6時間目の理科の授業になったら、

「イ」「ウ」の葉っぱを摘み取ってきて、保存しておいた「ア」と一緒にします。

いよいよ実験の開始!

 

1)3枚の葉っぱを、ビーカーに入れたお湯に浸し、火にかけて2~3分軽くゆでます。

⇒ 葉っぱをやわらかくし、ヨウ素溶液がしみこみやすくするためです

2)葉っぱをお湯から取り出して水にさらし、水気をきります。

3)シャーレに入れたヨウ素溶液に葉っぱを浸し、色の変化を観察します。

 

さて、どうなるのが正解だか、わかるでしょうか?

(ちょっと考えてみてください!)

この実験、一見簡単そうですが、いろいろと落とし穴があるそうです。

×火にかけるときに、マッチをすれない子が多い

 ⇒マッチの使い方を練習させたいが、時間がないのでとりあえずつけてあげる

×ゆでるのに、水からだと時間がかかりすぎて間に合わない

 ⇒職員室でお湯をわかしてポットに用意しておき、お湯からゆでるのがポイント

×2)で、水分をちゃんと取らないと、ヨウ素溶液が薄まってしまいうまく染まらない

 ⇒ざら紙(懐かしい響き)を用意しておく

×ヨウ素溶液を配るのが早すぎると、分解して染まらなくなってしまう

 ⇒直前についでまわる必要あり

×ヨウ素溶液は2倍~5倍に薄めるが、薄すぎると短時間で染まらない

 ⇒教科書の写真よりも濃い目にするのがコツ

 

時代の変化を感じたのは、最近はアルコールランプと三脚を使わず、

「理科実験用ガスコンロ」というものを使うんだそうです。

教科書もそれで載ってます。

マッチをすらなくていいので便利ですが、ちょっとお高い(1万円くらい)。

そのため、たいていの学校には、班の数には足りません。

なので、アルコールランプと併用になるんだそうです。

が、従来は4年生の「もののあたたまり方」、5年生の「もののとけ方」で使い方を習うはずだったのが、

今はそこで習うことが少ないため、マッチのすり方、アルコールランプの使い方があやふやなまま6年生に。

う~ん、ガスコンロでいいのかなあ、と古い人間は頭をひねってしまいますが・・・

今の生活では、マッチ自体が姿を消しつつあるので、しかたがないですね。

 

ところで、この実験の結果は、

 「ア」・・・染まらない(緑色のまま)

 「イ」・・・染まる(青むらさき色)

 「ウ」・・・染まらない(緑色のまま)

となるのが正解です。

2( ・・・ドへたなイラストですみません。)

なぜならば、

「イ」は日光に当たって、光合成により、澱粉ができているから。

「ウ」は日光がさえぎられて光合成ができず澱粉ができなかったから。

というのは、わかりやすいですよね。では「ア」は何のためにやっているのでしょうか?

 

実は、「ア」は、いわゆる陰性対照、ネガティブコントロールなんですね。

「イ」が染まるのは、「前の日に出来た澱粉が残っている(日光を遮ることで消える)」と考えることもできますが、

「ア」の葉っぱが染まらないことで、朝の時点で、澱粉はなかったことになり、

その仮説は否定できるわけです。

(対照を置いて実験する「条件制御」の考え方は、小学校高学年から学習するそうです)

というわけで、実はこの実験の重要なポイントは、「ア」の葉っぱの意味をわかってもらうこと。

暑くても、足りなくても、2枚じゃダメってことですよ~。

 

この実験の成功の決め手は、とにもかくにも、

スケジュール調整(2日連続の晴れの日確保)と、丁寧な下準備。

きれいに結果が出たときは、生徒以上にうれしくなっちゃうようですよ!

蛇足ですが、この実験で使うのは、「ジャガイモ」か「インゲン」の葉がほとんど。

同時期に成長する「ヒマワリ」「ホウセンカ」でもよさそうなのに不思議じゃないですか?

(光合成はもちろんしますし)。

 

実は、「ジャガイモ」と「インゲン」は、同じ茎に3枚(以上の)葉がつくんです。

班で3枚使うので、ぴったりなんですね(個人的にこの事実はツボでした!)。

 

光合成って、よく考えるとほんとに不思議で、すごくよくできてるしくみです。

人工光合成がいまだに実現しないくらいですから・・・。

受験問題でも定番のテーマですから、この実験をしっかり成功させて、

イメージとセットで、がっちり理解&記憶させてあげたいですね。

 

 

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2013年6月13日 (木)

理科実験メモ②へのコメントいただきました

先月アップした記事、理科実験メモ②5年「流れる水のはたらき」について、

プロの方からお役立ち情報をいただきました。

ご承諾を得て、掲載させていただきます。

コメントの主は、

国土交通省 国土技術政策総合研究所

危機管理技術研究センター 地震防災研究室

長屋  和宏 様

です。

では、コメントをどうぞ!

   

   

「この実験で使う場所の選定のポイントですが、結局は、使う”土”の問題だと思います。

この手の実験をするとき、学校だと校舎脇(校庭の端っこ)とかでやるとも思いますので、

使っている土はいわゆる”泥”、土質用語だと、”粘土”とか”シルト”と呼ばれる土を使っていることになると思います。

よく耳にする土の種類に”砂”がありますが、これは”粘土”、”シルト”と並ぶ土質用語です。

ちなみに、”砂”、”シルト”、”粘土”は、粒の大きさで分類されていて、砂が粒が大きくて、

粘土は粒が小さいです(シルトはその間)。

 

さて、川の流れの実験に話を戻しますと、オチを言ってしますと、砂を使うと比較的やりやすいハズです。

先ほどの説明の、土の粒が小さくなると、粒同士がくっつく力が出ています。

(粘着力と言います。よく、サラサラの砂、と言いますが、粘着力が小さいを表現しています

粒が小さいほど粘着力は大きいです。)

で、川の実験をするときに、泥(=粘土)を使うと、どうなるとかというと、粘着力があるため、

なかなか、水と一緒に土が流れていってくれません(適度な浸食が成立しない)。

で、水の勢いを強くすると、書いておられたように、その加減が難しくてなかなかうまく行かないというわけです。

そのため粘着力が小さい砂を使うと比較的やりやすいハズです。

(実験が終わったときに靴がドロドロと言うコトは粘着力があるからです。

砂だと、ドロドロにはならない・・・。)

 

校庭の真ん中で川の実験をすることはないと思いますし、

わざわざ、校庭の砂を持ってきて実験をすることはないと思いますが、

もし、校庭の砂を使って実験をするとやりやすいはずです。

(きっと、先生に叱られるけど・・・。)

 

なお、砂場の砂(砂の中でも更に粒が大きいもの)だと、逆に実験が成立しない可能性があるのでご注意を・・・。

というのは、砂は先にも書いたように粒が大きいので、水を含んだり、下に流してしまう性質があります。

そのため、あまり粒の大きな砂を使って実験をしようとすると、水を吸い込んで しまい、川の流れ自体が形成できません。

(水を流しても、全部吸い込んでしまう。砂場に水がたまりができないのはそのためです。)

 

なお、土木の世界では、土の実験をするための標準的な砂、と言うものが決められています。

”豊浦標準砂”と言いますが、山口県の豊浦町で取れたもので、50kgで12,000円程度しますので、お米並みの値段です。

(現在では、ISO規格になったため、豊浦標準砂のみが標準的な砂というわけではなくなりました。)

ちなみに、学校の校庭の土は、粒の大きさの感じなどは豊浦標準砂に結構近いのではないかと思います。

(厳密に粒度やその分布を調べたわけではないので、触ってみた感覚的にですが・・・。)

  

とのことでした。

さらに、この方を通じてさらにもうおひとり、専門家のコメントです。

   

実験には、

「DLクレー(商品名,シルト,不飽和の実験でよく使います。感動的にさらさらです)」

等使うと,おもしろいです。

    

実は「パパ友」でもある長屋さん、コメントありがとうございました!!

流れる水の実験、初めての場所でも失敗しにくくなる貴重なポイントを伝授していただけたと思います。

理科の先生、理科支援員の皆さん、ご参考になさってくださいね~。

    

研究用のお高い砂とお値段を比較されている、「お米」のほうが専門です。

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