理科実験メモ⑩6年「水よう液の性質」後編
小学校の理科実験に詳しいリーゾスタッフに聴くシリーズ。
今回は、6年生で学習する「水よう液の性質」の実験についてレポートします。
その後編です。
塩酸や水酸化ナトリウムの水溶液に、金属片を入れて溶かした実験、覚えてますよね!
固いイメージの金属が、シュワシュワと泡を出しながら溶けていくことが不思議でした。
この学習では、
①「塩酸」に「アルミニウム」片を投入して、溶ける様子を観察し、
②完全に溶けたあとで、溶液を蒸発皿に入れて蒸発させ、
③析出した固形物を、もう一度塩酸に入れてみる
という実験を行います。
(1時間では無理なので、溶けるところまでで区切り、2回に分けて行います)
1回目の授業では溶けるところまででよいといっても、
45分の授業のうち、金属片を溶かすのに当てられる時間は約20分。
この間に溶け切るようにしなくてはなりません。
このため、塩酸は、4Mくらいの、かなり濃いものを用意します。
(リトマス紙の実験の10倍くらいの濃さだよ!と危険性をアピールします)
さらに、金属片の方は、サンドペーパーで磨いて、傷をたくさんつけておき、
反応が早く始まるようにします。
2回めの実験では、金属が溶けたあとの溶液を、
「駒込ピペット」(初登場!)で吸い取り、
蒸発皿に移して実験用ガスコンロにかけ、蒸発させます。
すると、白い粉状の物質がでてきます。
さて、これは溶かしたアルミニウムがもう一度出てきたのでしょうか?
それとも、違う物質でしょうか?
それを確認するために、白い粉をスパーテルでこそぎ取り、
新しい塩酸を入れた試験管の中に加えて混ぜます。
アルミニウムなら、泡を出して溶けるはず、ですよね。
白い粉は、塩酸の中に分散しますが、泡は出ないので、
「アルミニウムは、塩酸に溶けて、別のものに変わった」
ということになります。
このあと、溶液を「水酸化ナトリウム水溶液」に変えて、
金属も「アルミニウム」のほか「鉄」だとどうだろう?となり、
同様の実験を行っていきます。
最後に(ちょっとつながりが分かりにくいんですが)、
二酸化炭素を水に溶かしてみよう!という実験があります。
(「いろはす」のような)ペコペコで薄いペットボトルに水を満たし、
CO2ボンベの二酸化炭素を水上置換で半分ほど入れて、キャップを締めます。
そのボトルをシャカシャカ振ると・・・あら不思議!
ボトルがぺっちゃんこにつぶれてしまいます。
二酸化炭素が水に溶け込み、体積が減ったからなんですね。
二酸化炭素は、水によく溶けることがわかります。
この実験は、全員がやりたがるので、ペットボトル持参で、
ひとり1回やらせてもらえるそうです(私もやってみたい!)。
以上で実験は終わりです。
この実験にも、支援員泣かせの落とし穴が・・・。
×金属片を入れた後、反応が始まるまでがつまらない!
あまりのつまらなさに、興味を失ってしまっては困ります。
泡が出始めれば面白くなるので、できるだけ早く反応が始まるように、
傷をつけたり、アルミ片の代わりにアルミ箔を丸めたものを使ったり、
鉄の場合はスチールウールを使ったり・・・とくふうします。
×時間内にアルミ片が溶けてくれない!
予備実験で、溶けきるまでの時間を測り、これなら大丈夫、と思っていても、
当日の気温が低かったりすると(そうでなくても理科室は寒い)、
予想外に反応時間がかかってしまうこともあるそうです。
そういう場合は、仕方がないので、給食の時間などに「溶けたよ~」と見せに行くとか。
×溶液の中に子どもたちがいろんなものを入れてしまう
「これは溶けるかな?」と気になってしまうのはしょうがないですよね。
終わった後、試験管の中には、(消しゴムのかすなど)いろんなものが入ってるそうです。
まあ、大概は問題ないようですが。
×終わった後の洗い物が大変・・・。
試験管やビーカーが大量に出る実験。
冬の理科室での洗い物は、なかなかたいへんな作業です。
応用編としては、
中身を伏せた水溶液を複数用意し、
リトマス紙、金属片、蒸発皿を使って、中身を当てる、というゲームができます。
研究授業などで採用する先生もいらっしゃるようですよ。
(このときの注意点はやっぱり「炭酸水」!
泡で中身がばれないようにすることと、
鮮度を保つことの両立ななかなか難しそうです。)
蛇足ですが・・・
『別のものに変わった』という言い回し、
5年生の実験での『溶ける量には限りがある』という言い回しもそうなんですが、
・・・なんとなく哲学的で、意味ありげな感じがするのは私だけでしょうか?
小学校の理科支援員の経験を持つリーゾスタッフに、
インタビューしながらご紹介してきたこのコーナー、今回で終了!となります。
(ブログの方は、もちろん続きます)
ご愛読、ありがとうございました!
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