微量の液体の取り扱い(セミナー内容)
バイオ系の実験では、マイクロリットル(1ミリリットルの千分
の1)単位の液体を正確に計りとったり混ぜたりする必要があり
ます。難しそうに見えますが、「マイクロピペッター」という便
利な道具があるので大丈夫です。
まずは、このマイクロピペッターを使えるようになりましょう。
握ってみてください、と言ってお渡しすると、大概の方は正しく
握ることができます。「good!」と言うときのように親指を立て
て残り4本の指で握ります。親指は、トップにあるボタンに乗せ
ます。
親指に力を入れていくと、最初に止まるところがあります。この
感触を覚えてもらって、さらに力を入れていくと、これ以上動か
ないところがあります。大事なのは最初のストップ位置で、ここ
まで押してから戻すことで、数値で設定した量の液体を吸い上げ
ることができます。
よくある失敗は、指に力を入れすぎてしまい、第二のストップ位
置まで押して液体を吸い上げてしまうこと。設定したよりはるか
に多い量が取れてしまうので要注意!です。
押す感覚を覚えたら実際に練習です。先端に使い捨てのチップを
つけ、用意したTEバッファーを10マイクロリットル計り取り、シ
ールの剥離紙(のつるつるした面)に10個並べます。チップは1
回ごとに捨てます(親指を少し手前にずらすとイジェクターボタ
ンを押せます。ピコッとチップが外れて落ちるのはちょっと快感
です)。
これができたら、次は「DYE」(少し粘性がある、色のついた液体)
を5マイクロリットル×10個並べます。最後にもう一度TEで、1マ
イクロリットル×10個に挑戦します。3種類とも、同じ大きさ、同
じ間隔で10個並べば合格!です。
次に、比重の違う液体同士を均一に混ぜるための「ピペッティン
グ」を練習します。PCRプレートのウェルの中にTE10マイクロリッ
トルを入れ、DYE5マイクロリットルを加えてピペッティングしま
す。
チップの先を液体に入れたまま、吸ったり吐いたりを繰り返すだ
けですが、チップを動かさずにシャカシャカやってもなかなか混
ざりません。ところが、底で吸い「ほんの少し持ち上げて」吐く
ようにすれば、2、3回できれいに混ざります。
反応液の調製では、例えば酵素(比重が重い)が「均一に混ざる」
ことが重要なのですが、色がついていないので混ざっていないこ
とがわかりにくいです。なので、こうすれば確実に混ざる、とい
う方法を覚えておくと安心なんです。
次に、1.5ミリリットル入る「マイクロチューブ」の扱い方を学び
ます。主に、持ち方、キャップの開閉の仕方、スクリュー式の場
合は外したキャップをどう置くか。中に液体が入っている場合は、
必ず遠心機にかけて、キャップの裏や壁面についた液体を底に集
めてから開けること、ふたが開いている時間はできるだけ短くす
ることなどを説明し、実物を触って練習してもらいます。
さらに、マイクロチューブの中で液体を混ぜ合わせる方法として、
タッピング(チューブを爪や指先で弾いて混ぜる)とインバージ
ョン(チューブ全体を上下に反転させて混ぜる)も練習します。
実験補助者を採用したあとで「えっ?マイクロピペッター使った
ことないの?」と愕然とする研究者さんがたまにいらっしゃるよ
うですが、そりゃ普通の主婦は知りませんよね。あたりまえのよ
うに使っている道具だけに、基礎から教えるのは意外と面倒なも
の。ということでリーゾの講習メニューに入れています。
1回目の洗い物やチップ詰めも楽しいですが、マイクロピペッタ
ーはいかにも「実験!」という雰囲気になり、受講生のみなさん
にも好評な講習です。
実験補助セミナーのご案内はこちらにあります。
http://www.rizo.co.jp/seminer.html
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