図書館で借りてきて山のように読んでいる、起業・経営関連本のなかから、
起業を志す方にお勧めの本をご紹介しています。
「ジャスト・スタート 起業家に学ぶ予測不能な未来の生き抜き方」
レオナード・A・シュレジンジャー 他著
阪急コミュニケーションズ 刊
1700円+税

なんでもっと早く、できれば起業する前に、この本にめぐり合えなかったんだろう・・・。
と、読み始めてすぐから、そう感じた本です。
(この本が出たのは2013年8月、起業は2009年だから、
もちろん無理な話ですけど。)
起業しようと思うなら、まずこの本を読んで、
・起業するのに悲壮な決意は要らないこと、
・大きなリスクを取らずに、かなりの確率で成功できる道があること、
を知ることで、自信をもって安心して踏み出せるのではないかと思います。
「起業家」というと、自らのアイデアを練り上げて、完璧な事業プランにしてから、
市場に提供する人、というイメージがあります。
そうでなければ、成功しないんじゃないか、と思いますよね。
でも、この本によると、起業家の実像というのは、
①行動する
②(自分の行動から)学ぶ
③学んだことを活かして、再び行動する
のサイクルを、成功するまで繰り返しているのだというのです。
つまり、「行動する」が最初。
綿密な事業計画を立ててから行動、ではないと。
思いついたことを、とりあえず行動してみて、いけそうかダメかを学んで、
必要に応じて軌道修正してまたちょっと行動して。
最初から完璧な製品を出そうと思わずに、とりあえず市場に提供して、
顧客ニーズを見ながらブラッシュアップを繰り返していく。
・・・えっ??
これって、リーゾの貧乏起業そのものじゃないですか。
・・・ほんとかなあ?と思ってしまいました。
ここで着目すべきは、この本の副題「予測不能な未来の生き抜き方」。
起業ってまさに、「予測不能な未来を生きること」、そのものです。
どんなにがんばって事業計画を立てたところで、
実際のところ、その通りになるかどうかは全くわからない
(というよりほとんどその通りになることはありえない)のですから。
もしも未来が完全に予測可能であるなら、『予測=プレディクション』が有効です。
事業計画を立てて、その通りにことを進めていけばいいわけですから。
でも、未来が予測不能であるなら、プレディクションは役に立ちません。
そこで出てくるのが、『クリアクション(cre-action)』。
(creationとactionを組み合わせて作られた、著者による造語です)
前述の、
①行動する
②(自分の行動から)学ぶ
③学んだことを活かして、再び行動する
という、起業家の実像、そのものです。
では、クリアクションを行うのに必要なことは何でしょうか?
①なにはともあれ、『欲求』 ← これがいちばん大事
「自分は本当にこれがやりたいのか?」と問いかけて、イエスであればOK。
②『許容損害の見極め』
何をどこまで失ってもよいと思うのかを、きちんと見極めておくこと。
お金とか、人間関係とか、時間とか。
どこまで許容できるかは、かなり主観的・ひとそれぞれ・ケースバイケースになりますが。
③『手段』
自分の手持ちの、あるいは手近なリソースから、手段を探します。
自分は何者か?何を知っているか?誰を知っているか?
そんな問いかけから、自分でも忘れていたリソースを発見できたりします。
要するに、できるだけお金をかけずに手に入る物を活用して、
損害のリスクを最小限にしながら、欲求を満たす方向に向かって、
そろりそろりと進んでいく、という感じです。
失敗しても、損害はほんの少しで、行動しない場合に比べて学ぶものは大きく、
軌道修正して再挑戦する気力体力資力を十分に残しながら進めるわけです。
ひとサイクル行うごとに、少しずつだけれど、『成功』に近づいていけます。
つまりは、世の中の起業家は、そのイメージに反して、かなり臆病で慎重で、
一見貧乏くさいことをしている、ということがわかります。
(・・・そんなのってリーゾだけかと思っていたら、違うんですね!)
もうひとつ、クリアクションで着目すべきは、
「負債を資産に変える」という姿勢です。
一見、不運に見えることも、見方を変えて、全てを好機と捉えることで、
そのうち実際にそうなってくる・・・ということです。
(これも、不意の失業をきっかけに、大不況下で貧乏起業したリーゾは、
精神衛生上?やむを得ず、そんな風に考えていたわけですが・・・。
起業家として、正しい思考パターンだったとは驚きです)
起業ほどではないにしても、人生は「完全に予測可能」ではなくて、
「完全に予測可能」と「完全に予測不可能」の中間にあると言えます。
なので、「クリアクション」の考えかたは、学校でも、職場でも、家庭でも、
ひいては、「世界を変えるにはどうしたらいいか」なんてことにも、
いろいろなところで使えます。
とはいえ「予測=プレディクション」を否定するわけではなくて、
望ましいのは「プレディクション」と「クリアクション」を使い分け、併用することなんですね。
詳しくは、本書をお読みください!
(ほんとにお勧めです)
以下蛇足ですが・・・
起業して6年目になりますが、最初から今に至るまで、「事業計画書」って苦手で、
「こんなのいくら作っても、その通りになるわけないじゃん」と、
ずっと違和感を感じていました。
(でも経営者である立場上、そんなこと言えないですよね!)
この本を読んで、「起業において、予測はそもそもできないものなのだ」とわかり、ようやく腑に落ちました。
実現したいことがあって、考えて、お金をかけずにちょこっと行動して、
ダメなら引っ込めて、行けそうならもうちょこっとだけ行動して・・・。
そんな場当たり的なやり方は、経営者としてちょっと恥ずかしいんじゃないか?
と思ったりもしていたのですが、そんなことはないとわかっただけでも、
本書と出会えて幸運でした!
(できればほんと、起業前に読んでおきたかった・・・
せめてこれから起業する方には、ぜひ読んでおいていただきたいです)
リーゾのウェブサイトはこちらです。
http://rizo.co.jp/
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