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受託サービス

2015年10月23日 (金)

『グラフ遺伝子型』描画サービス

リーゾのデータ解析受託に、新しいサービスが登場しました。

それは、『グラフ遺伝子型』描画サービス♪

・・・って何?という声が聞こえそうです。

 

『グラフ遺伝子型』とは、染色体を遺伝子型で色分けした地図のようなものです。

たとえばこんな感じ。

Photo

交配して後代(孫の代とか)を取ると、染色体の各部分に、

父親由来、母親由来、その両方、のタイプがモザイク上に入り混じった状態になります。

そのパターンは、個体ごとに違います。

 

次の世代に残すべき最優秀な個体はどれなのかを決定するには、

従来育種では、「形質」という目に見える性質などで判断していましたが、

今は幼苗のうちに、目的の遺伝子が入っているかどうかを、

判断することができるようになりました。

 

さらにグラフ遺伝子型まで見れば、その他の領域の状態まで見た上で、

最適な個体を選ぶことが可能になり、

正確に目的どおりの品種を短期間で作ることができます。

 

準備していただくのは、

・各染色体の全長(cMまたはbp)

・各染色体ごとに、マーカー名と位置(cMまたはbp)、遺伝子型のデータ

(遺伝子型は、1、2、3、4の4つの数字で表わしていただきます。

例えば1=父親ホモ、2=母親ホモ、3=ヘテロ、4=ノーデータ、など)

これだけ!

エクセル形式のフォーマットをご用意していますので、埋めていただければOKです。

たとえばこんな感じ。

Dataformat

(フォーマットはこちらからダウンロードできます

 

地図を描写するにあたり、

・線の太さ

・それぞれの遺伝子型の色

・マーカー名のフォントサイズ

など、指定していただくことができます。

その他、ご希望があればできるだけ対応して作成します。

(もちろん無理な場合もありますが、その際はそのようにお伝えします。)

 

お返しするグラフ遺伝子型の図は、エクセル形式となり、

エクセル上あるいはお好きな描画ソフトに移して、微調整していただけますが、

2往復程度まではご指示いただきながらこちらで修正いたします。

 

料金は、1描画(1個体) 9,800円(税別)です。

「修正は自分でやれるから、描いてくれるだけでいい」という場合には、

半額の4,900円(税別)で承ります。

 

詳しくは、リーゾまでお問合せください!

 

2014年1月14日 (火)

「すにっぷすいすい」の作り方(2)

次に、アレル特異的PCRによるSNPタイピング成功のポイントです。

 

アレル特異的PCRはシンプルな方法だけに、

注意すべきポイントがいくつかあります。

特異性がうまく出ない際には、多くの場合、

下記について検討することで解決します。

 

ポイント1)酵素は安いものを選ぶ

特異性が出ないケースでは、某大手メーカーの高機能Taqをお使いの場合が多いです。

高機能の酵素は、アレル特異的PCRには向きません。

安いポリメラーゼを使ってください。

(リーゾでは、AgilentのPaq5000をお勧めしています)

 

ポイント2)DNAのコンタミに細心の注意を払う

通常のPCRでは問題にならないレベルのコンタミで、特異性が消えてしまいます。

 

ポイント3)DNAを入れすぎない

できれば定量して、一定量を入れるのが理想ですが、

多数のサンプルをタイピングする場合にはそうも行かないでしょうから、

できるだけ同じ濃度で取れるように抽出系を工夫して、

少なめに加えるようにするのがコツです。

 

ポイント4)サイクル数を減らす

使用する機器が変わると(同じ機種でも)微妙に条件が変わることがあります。

酵素のロットによっても違ってくるので、症状を見て微調整します。

 

ポイント5)アニーリング温度を上げる

同上です。

 

上級レベルになりますが、うまく設計すれば、

ポジティブコントロール(必ず増えるバンド)を入れたり、

2箇所以上のSNPを同時にタイピングするマルチプレックスPCR系を組むことも可能です。

 

また、SYBR GreenIを混ぜてPCRし、リアルタイムPCR機でpostreadすることで、

電気泳動なしでタイピングすることもできます

(増幅が数値化されるので、エクセル等で半自動でタイピング結果を出せてすごく便利!です)。

 

いかがですか?

「アレル特異的PCR」を身近に感じていただけたでしょうか。

商売としては、「すにっぷすいすい」を頼んじゃうのがお勧めですよ!と言うべきところなのですが、

とりあえず自力でがんばってみるのもありです。

PCRに関るいろいろなことについて深く理解する必要があるので、

学生さんにとっては良い勉強にもなります。

 

問題は、うまく行かないときです。

対策の選択肢が多すぎて泥沼にはまり、

長期戦になった挙句にギブアップ、

というもったいない(人件費、消耗品費、時間、労力・・・)ケースも多いですから、

そういうときにはもちろん、リーゾにお任せくださいね!

Primer3のサイトはこちら
http://primer3.ut.ee/

OlygoAnalyzerのサイトはこちら
https://sg.idtdna.com/analyzer/applications/oligoanalyzer/

「すにっぷすいすい」のご案内はこちら
http://www.rizo.co.jp/SNPs-ici.html

 

 

 

「すにっぷすいすい」の作り方(1)

リーゾの人気サービス「すにっぷすいすい」(アレル特異的PCRマーカー)は、

どうやって作っているのでしょうか?

今回は、企業秘密を、大サービスで公開します!

 

DNA塩基配列上のわずかな違い(一塩基多型、SNPs、スニップス)について、

塩基種を判定する方法にはいろいろありますが、

その中でおそらく最も低コストで簡便な方法は「アレル特異的PCR法」です。

 

「アレル特異的PCR法」は、

SNP部位を3’末端にしたPCRプライマーを設計・合成して、

PCRと電気泳動を行い、

「増える・増えない」で判定する、

というシンプルな方法です。

オリゴ合成も通常品でいいですし、

ポリメラーゼも安価なもので十分(むしろ安価なものの方が向いている)、

専用機器の導入も不要、と、

初期費用・ランニングコストともに低く抑えられるというメリットがあります。

 

では、その作り方を解説します。

まず、アレル特異的プライマーの設計です。

使うのは、おなじみの「Primer3」。

上流側プライマーとして、3’末端の位置にSNPを持つプライマーを指定して、

下流側プライマーを選ばせます。

増幅断片長やTm値はデフォルト値、あるいはお好みで変えます。

上流側プライマーのTm値が合わない場合は、

3’末端の位置はそのままで、長さで調整します。

 

よさそうなプライマーが選べたら、上流側プライマーに「ミスマッチ」を導入します。

3’末端から数えて3塩基目を、別の塩基に変えます

(セオリーでは、A⇔C、G⇔Tなので、まずはそれで)。

 

識別したい2種類の塩基それぞれについて上流側プライマーを設計し、

合計3本のプライマーを合成(外注)します。

 

場合によっては、正方向を諦めて、

下流プライマーの3’末端にSNPを持ってきて逆方向で設計することもあります。

例えば、GC含量が高すぎる(低すぎる)場合などです。

下流プライマーの設計には同じくおなじみの「OligoAnalyzer」などを使って、

相補配列を出します。

 

プライマーが納品されたら、いよいよPCRです。

アニーリング温度を振ることでうまくいく条件を見つけやすくなるので、

「グラジエントPCR」を行います。

グラジエント機能は多くのPCR機器についてますが、

ついてない場合には温度を変えて何度か試すことで代用できます。

 

ここで、広い温度帯で特異性(増える・増えない)が出れば問題ありません。

一番よさそうなところで条件を決めて、タイピングに使います。

うまく行かない場合には、症状を見て対策を考えます。

 

よくある症状1)どちらのDNAも全く増幅していない

→下流側の位置を変えるか、逆向きで再設計します。

 

よくある症状2)きれいに増えているが特異性がいまひとつ

→ミスマッチの塩基種を変えます。

 

よくある症状3)高い温度帯まで増えていて特異性が低い

→「増えすぎ」と考え、プライマーを1塩基ずつ短くします。

場合によっては、ミスマッチの塩基種も変えます。

 

よくある症状4)低い温度帯でも増幅が弱い

→弱くても特異性が十分にあるようなら、そのままプライマーを1塩基ずつ長くします。

特異性が低い場合はミスマッチの変更も加えます。

特異性があり、増幅が弱い場合には、サイクル数を増やすことで解決することもできます。

 

よくある症状5)目的のサイズのバンドはOKだが、他のサイズに余計なバンドがある

→下流側のプライマーの位置を変えることで解決する場合があります。

タイピングに支障はないので、そのまま使うことも可能です。

 

これらの対策の結果、特異性と増幅性を兼ね備えたプライマーと反応条件を確立できたら、

完成となります。

 

(2)では、アレル特異的PCR成功のポイントをお話しします。

 

Primer3のサイトはこちら
http://primer3.ut.ee/

OlygoAnalyzerのサイトはこちら
https://sg.idtdna.com/analyzer/applications/oligoanalyzer/

「すにっぷすいすい」のご案内はこちら
http://www.rizo.co.jp/SNPs-ici.html