恒温槽として使える意外なもの
久々の貧乏ラボネタです。
リーゾには、いわゆる恒温槽が、ありません。
制限酵素処理とか、イネの発芽とかのために、欲しいなあ~と思いつつ、
実験用の恒温槽は小型のものでもお高いうえに、大きくて電気を食う。
リーゾは狭いし、インキュベートしたいものはほんの少し。
温度さえキープできれば、超小型でいいんです。
去年までは、イネを発芽させたいときには、
発泡スチロールの箱に、使い捨てカイロを敷いて、
その上にプラカップやビーカーを置いてました。
安上がりですが、カイロを毎日交換しないといけないのが面倒。
制限酵素処理のときは、PCRプレートに移して、PCRマシンで行ってました。
PCRマシンは温度制御が完璧なので、その点は問題ないのですが、
逆にオーバースペックすぎてもったいない(電気代が)。
さらに今回、寒天培地上で微生物を培養する実験の必要がでてきまして、
プレートが数枚入る程度の空間があり、温度制御ができるものはないか・・・
と思案しておりました。
で、思いついたのがこれ!!
タニカ「ヨーグルティア」。
ヨーグルトメーカーです。アマゾンで約6400円でした。
ヨーグルトメーカーとしては高額な部類になりますが、
実験用恒温装置としては激安です。
温度調節は25℃から65℃まで設定可能。
タイマーは1時間から48時間まで可能。
週末ずっと保温するのは無理ですが、
途中で1回くれば大丈夫な範囲です。
中はこんな感じ。
通常サイズのプレートが、すっぽり入ります!
高さ的には、6枚くらいは余裕で入りそうです。
(本来は、牛乳と種菌を入れた内容器を入れるのですが、
内容器なしで使います。
底に突起があるので、カラのシャーレを伏せて置き、
その上に培地を置くと安定します)
試しに植菌したプレートを入れて37℃×16時間培養したところ、
見事にコロニーが得られ、大成功でした。
・・・まあ、本来、微生物(乳酸菌)を培養するためのものですから、
当たり前と言えば当たり前ですが。
気を取り直して。
ヨーグルトメーカーは、種子の発芽にも使えます。
この場合は30℃くらいに設定して、
発芽袋に入れた種子(この場合は、種籾です)を、少量の水を入れたビーカーに浸し、
ビーカーごとヨーグルトメーカーへ。
横から見るとこうです(5種類の種子を同時に発芽させます)。
発芽後の状態はこちら。30℃で3日間保温しました。
発芽しすぎました・・・。
このくらいで、止めないとね。
袋の中を覗いてみました。
ちなみに、発芽袋は、リーゾの交配袋(の規格外品)を利用しています。
植えている様子は、こちらの過去記事をご覧ください。
http://rizo-inc.cocolog-nifty.com/blog/2013/03/post-07b9.html
このほかにも、実験機器として代用できる生活用品、リーゾにはいろいろあります。
先日のテレビ取材の際には、「まさに主婦力ですね!」などとほめられてしまいました。
貧乏だからしかたなく知恵を絞ったことなんですが、
まあ、ポジティブに考えればそうかも。
勘違いしていただいておきましょう。
6年目に入っても、まだまだ小さなバイオベンチャー。
主婦力でがんばる、リーゾのHPはこちらです。
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