ドライイースト(酵母)からのDNA抽出
先日、お客様から、『ドライイースト』からのDNA抽出のご依頼を受けました。
でも、普通のプロトコルでやるのはちょっと悔しい・・・。
リーゾの「すいすいシリーズ」をベースにして、簡単に取れないだろうか?
というわけで、試してみたところ、
加工食品用「DNAすいすい-PF」と、
細胞壁分解酵素「Zymolyase(ザイモリアーゼ)」の組み合わせで、
酵母のゲノムDNAが簡単に取れることがわかりました。
以下、ご報告です!
まず、ドライイースト数粒(5mgくらい)をチューブに取り、
720μlのDNAすいすい-PFで懸濁します。
次に、Zymolyaseを加えます。
購入したのは粉末だったので、50mgを滅菌水1mlに溶解し(冷凍保存)、これを80μl加えて混ぜました。
この状態で、37℃のインキュベータに入れます。
時間は長いほどいいわけですが、とりあえず30分で。
・・・振っちゃったのであまり変わってないように見えますが、
振る前は(溶菌状態特有の)ねばーっとした浮遊物が見えてました。
あとは、フェノクロで除タンパク処理をして、イソプロパノール沈殿します。
このへんは、通常の「すいすいシリーズ」と同じです。
RNase処理をしていないので、かなり大きめです。
100μlの水に溶解して、5μlを電気泳動してみました。
取れてました~。
下の方に見えるのは、分解しかけのRNAです。
波形も確認。
このやり方で、1回に取れた量(RNAを含む計算値)は、約40μgでした。
酵素処理の時間を長くすると、もっとたくさん取れるようです。
(ためしに3日間置いたときには、350μgほど取れました)
コストを計算してみました。
DNAすいすい-PF 1本20,000円で125回
⇒160円/回
Zymolyase(ナカライ) 1グラム10,000円で250回
⇒40円/回
合計 200円/回。
あとは、フェノクロやイソプロ、エタノールなどが要ります。
安いかどうかよくわかりませんが、
とりあえず、「簡単で早い」=すいすいには当てはまりそうです。
酵母ゲノム・プラスミド抽出には市販のキットがすでにたくさんありますが、
ご参考になればと思い、ご紹介しました!
リーゾのHPはこちらです。
« すいすい通信vol.31 2013年10月号 | トップページ | 理科実験メモ⑧6年「体のつくりとはたらき」 »
「ラボマニュアル」カテゴリの記事
- お金をかけない実験アイデア(お客様より)(2018.02.05)
- 貧乏ラボの「クリーンベンチ」(2014.05.28)
- 恒温槽として使える意外なもの(2014.03.14)
- リーゾにルンバ♪(2014.02.26)
- ドライイースト(酵母)からのDNA抽出(2013.11.14)
コメント