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2013年10月24日 (木)

カタルパさんその後

熊本県の樹木医さんよりご依頼いただいたカタルパ(アメリカキササゲ)の親子鑑定

その後のお話です。

 

新島襄がアメリカのE.E.バーニー氏(オハイオ州の鉄道車両製造会社社長)から取り寄せたカタルパの種子が、

教え子である徳富蘇峰に譲られて、熊本の自宅(現在は徳富記念園)で巨木に成長。

残念ながら昭和33年の台風で倒れ、現在は2世が立派に育っています。  

一方、熊本市内の菱形小学校の校庭にも、立派なカタルパの木が。

この木が、徳富記念園にある木と、血縁関係にあるのかどうかを知りたい、

というのがご依頼の趣旨でした。

(カタルパってどんな木なのか?→写真がこちらの記事にあります)  

 

さっそく、問題の「親樹①」と、菱形小学校の「子樹(候補)②」、

それにおそらく血縁関係がないだろうと思われる「他人(候補)③」

の3つの葉のサンプルを送っていただき、DNAを抽出しました。   

 

カタルパはゲノム情報が皆無なので、「RAPD法」での鑑定をまず試みました。

その結果、①と②の共通バンド、②と③の共通バンドがそれぞれ複数確認できた一方で、

②が仲間はずれになるパターンのバンドが一本もない、という結果になりました。

この結果から、①と②がクローン(挿し木など)ではない、ことははっきりしたのですが、

「親子ではないことを示す結果は得られなかった」(親子であることを否定できない)

という程度のことしか言えませんでした。

 

サンプル数を増やしてみましょう、ということで、

あらたに「子樹(候補)④」「「子樹(候補)⑤」「他人(候補)⑥」「他人(候補)⑦」「他人(候補)⑧」

の5つのサンプルを入手したところで、

幸運にも樹木のゲノム解析の専門家とのご縁ができ、

樹木の親子鑑定によく使われる葉緑体ゲノム上の遺伝子を教えていただくことができました。  

 

解析したのは、葉緑体のrpL32-trnLという部分。

葉緑体ゲノムは、核ゲノムと異なり、「母系遺伝」をします。

つまり、父親が誰であろうと、母親が同じ、すなわち同じ木に実った種から生える木は、同じ配列を持っていることになります。

1kb弱のこの部分をPCRで増幅し、シーケンシングして比較してみたところ、

「親樹①」「子樹(候補)②」では、塩基配列の違いは認められませんでした。  

 

もちろん、この領域の配列が「たまたま」一致していた、という可能性はありますが

(『違いがない』と言い切ることは常にとても難しい)、

「血縁関係にある可能性が否定されない」ことは事実。

はっきりしたことを言うにはもっと突っ込んで解析しなくてはならないけれど、

親子である可能性に夢をつなぐ結果となりました。

 

さらにびっくりなことに、「他人(候補)③」「他人(候補)⑥」まで、塩基配列の違いは見つからず、

九州から広島まで散在するいろいろなカタルパさんたちが、

実は同じ母親を持っている可能性まで出てきたことになります。

ぜんぶ、新島襄ゆかりのカタルパさんかもしれないわけで、夢が広がります・・・。

(なお、このデータは前述の樹木のゲノム解析の専門家にも見ていただき、同じご意見をいただいています。)

 

この結果を依頼者の樹木医さんにお伝えしたところ、

記念館や菱形小を含めご関係の皆さんに大変喜んでいただけました。

「熊本日日新聞」に、インタビュー記事まで掲載されたんだそうです。

Photo

 

これは少し前にいただいたものですが、

熊本市立菱形小学校の校長先生と、児童代表さんからの、お礼のお手紙です。
Photo_2
 

皆さんの夢をつなぐ結果を出すことができて、ほっとしています・・・。

リーゾ初めての「メセナ」、とりあえず大成功です♪

研究者のお客様を始め、リーゾ側の関係者とも、この喜びをシェアしたいと思います。

 

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