英文校閲の上手な利用法①
リーゾのお客様は研究者の方が多いので、
皆さん研究の仕事の節目節目には、
英語で論文を書いて学術雑誌に投稿されています。
慣れた方なら、自分でほとんど完成させて、ネイティブチェックだけ依頼して仕上げて投稿、
という場合もありますが、なかなかその域に達するのは難しいもの。
「ある程度」の完成度のものを作って、英文校閲の人とやり取りしながら、
完成度を高めていく・・・というやり方が、現実的なのではないでしょうか?
そこで、研究論文専門の翻訳・校閲を扱うプロに、
最小限の労力とコストで、高品質の論文を仕上げるための、
英文校閲の上手な利用の仕方を聞いてきました。
お話を伺ったのは、牛久市の研究専門翻訳会社「ワールド翻訳サービス」さんです。
こちらが代表の柳澤奈津子さん。
翻訳会社というのは、そこで翻訳や校閲をしているわけではなくて、
研究者さんに依頼された仕事を、最適な登録翻訳者さんに割り振って、
出来上がった原稿をチェックして研究者さんに納品しているんですね。
きめ細かい対応と調整が求められ、一日中パソコンに向かう厳しい仕事ながら、
スタッフ(コーディネータ)の皆さんはにこやかで感じのいい方ばかり・・・。
女性経営者ならではの「おもてなし」精神あふれる雰囲気の会社です。
では、さっそくインタビューです。
実は柳澤さんはお友達でもありますが、今日は友達であることは忘れて、
英語の論文を書くのに自信がない研究者(・・・私です)の立場で、
本音の質問をぶつけたいと思います!
まずは、『翻訳や校閲を依頼する会社の上手な選び方』を聞いてみました。
Q:英文校閲会社はいっぱいありますが、どこを見て選ぶのがいいんでしょうか?
A:発注先の会社を選ぶ際には、やはり実績を確認するのがよいと思います。
とはいえ、公的な研究機関は最近、競争見積もりが多いため、品質を重視する会社ではなく価格勝負の格安の会社が実績を伸ばしている傾向にあります。
そのため、実績が多いからと無条件に信頼するのはおすすめできません。
一番よいのは、 やはり口コミです。
ご友人や同僚の方が満足しているサービスを提供しているところは堅実な仕事をしてくれるはずです。
Q:ここはと思ったところがあったとして、直接問い合わせるとしたら何を聞くべき?
A:納品後の対応はどの程度まで面倒をみてくれるのか、ということも確認したほうがよいでしょう。
会社によっては、納品後1週間や2週間以内しか質問の対応はしない、というところもありますし、
質問はすべて有料、というところもあります。
アフターサービスも重要なポイントですので、しっかり納得したうえで発注 するのがよいと思います。
また、電話で問い合わせるなら、窓口となるコーディネーター(もしくは営業担当)の対応の良し悪しも確認できます。
一度だけの取引ではなく、末永く安心し て取引ができる会社をお探しの場合には、
担当者の対応をみて、気持ちよく取引できそうかどうかもチェックポイントになります。
Q:再投稿とかで期限があったりして、すごく急ぐ時があるんですが、納期をせかすお客さんの校閲は、雑になったりします?
A:納期に関しては、やはり100%マンパワーの作業ですので、
無茶な納期の場合は、納品前の品質管理が適正に行うことができないこともあります。
それが原因で、ミスが見落とされる可能性は、
適正な作業期間を与えられた場合よりも、当然あがってしまいます。
また、納期の早さに関連してもうひとつ注意すべき点は、
1日あたりの作業可能なボリュームが非常に大きく設定されている会社です。
そうしたところは、 100%マンパワーではなく、多くの場合、
翻訳支援ツール等のアプリケーションが介在しているため、
品質よりも「効率のよさ」を最優先している可能性が高いと言えます。
つまり、生身の校閲者がひと つずつ文脈を読み解き、そのうえで、
「この論文の文脈ではこの表現がよい」
「この単語を採用すべき」
「スマートでシンプルな表現を提案する」
といったベストな提案する校閲が期待できないことも多いです。
Q:・・・校閲は、あまりせかさない方が良さそうですね。
ところで、よく見かける「ネイティブ」という言葉に、胡散臭さを感じちゃうんですが。
A:弊社にいただくご相談で、「海外の業者(格安企業)にお願いしたら、
ちゃんと見てもらえなかった」と締切間際にあわててお電話がかかってくるというパ ターンがあります。
やはり、「英語ネイティブの校閲者」が担当している、とうたっているところでも、
英語が公用語のひとつになっている国の出身者を「ネイ ティブ」とみなしている場合、
ジャーナル投稿に耐えうる英語になって戻ってくる確率は、残念ながら下がってしまうようです。
一方、事実として、「アメリカ人やイギリス人の校閲者」を起用していることを前面に出していても、
アメリカ人やイギリス人の主婦や学生をアルバイトで使用している会社もあります。
確かにネイティブではあるけれども、一定の水準の素養を備えていない場合も多く、
文法のミスすら見つかることがあります。
競争見 積もりが多くなり、価格が下落するにつれてそうした主婦や学生を、
アルバイトで起用する会社が増えています。
Q:やっぱり・・・。となると、やはり高いところに頼むのが安全、なんでしょうか?
A:価格と品質が比例するか、というと一概には言えませんが、
格安の場合には、少しだけ注意が必要だと思います。
Q:価格はともかくとして、他に優先すべき点はあるでしょうか?
A:これは、原稿の用途によって異なります。
たとえば、納期を優先すべき場合もあるでしょうし、品質を優先すべき場合もあるでしょう。
その原稿の用途と、 最終的にご自分が、
価格・納期・品質のなかでどこに一番重点を置くのか優先順位を明確にすると
わかりやすいと思います。
レベルの低い質問ばっかりですみません・・・。
「ウチを選べ!」と言いたいところをぐっとこらえての冷静なお答え、さすがです。
続きまして、論文の英文校閲で最大限の効果を得るために、
依頼する側ができることは何か?を聞いていきたいと思います。
続きは②へ!
ここまで読んで、「ワールド翻訳さんに問い合わせしてみよう」と思われた方は、
こちらへどうぞ(ワールド翻訳サービスさんのHPです)。
リーゾのHPはこちらです。
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