理科実験メモ⑥もののとけ方(前編)
小学校の理科実験に詳しいリーゾスタッフに聞くシリーズ。
今回は、5年生の冬に学ぶ「もののとけ方」について聞きました。
「ものがとける」とは、もちろん「水に溶ける」という意味です。
食塩や砂糖、コーヒーシュガーをコップの水に加えると、とりあえず沈みます。
そのままずっと置いておいたり、スプーンでかき回したりすると、溶けます。
水に入れたものが溶けて、透明になったら、それは「水よう液」。
色がついていても、透明ならば、やはり「水よう液」です。
ここで「水よう液は、どれでしょう?」クイズ!
ペットボトルに水と、
「ケチャップ」、「マヨネーズ」「納豆(!)」、「インク」、「絵の具」などを入れて、振り混ぜます。
水よう液の条件は、「均一」かつ「透明」。
この条件に合うものを、探します。
(絵の具は均一だけど透明にはならないので、水よう液ではないんですね)
ものが水に溶ける様子を観察できる、簡単な実験があります。
不織布のお茶パックに、食塩や砂糖を入れ、割り箸で挟みます。
トールビーカーに水を入れて、割り箸をビーカーに渡すようにして、
お茶パックを水に浸します。
すると、お茶パックから水の中へ、
もやもやと波打つように何かが溶けながら沈んでいく様子が見られます。
肉眼でもかなりきれいに観察できるので、子供たちから「おおー!」と声があがるそうです。
「水に溶ける」が実感できて、つかみはばっちり!
もやもやが見えるのは、透明な水と、ものが溶けた水では屈折率が違うからです。
これを、『シュリーレン現象』といいます。
(ちなみにシュリーレンは人の名前ではなく、ドイツ語で「むら」という意味だそうですよ)
・・・もちろんこれは大人向けの説明で、子供たちには言いません。
水にものが溶けて透明になることはわかりましたが、
じゃあ、溶けたものはどこに行ってしまったのでしょうか?
なくなってしまったんでしょうか?・・・まさか!
「じゃあ、溶ける前と後で、重さがどうなるか、確かめてみましょう」
というわけで、次の実験です。
やることはとてもシンプル。
電子天秤の上に、ビーカーに入れた水、薬包紙にのせた食塩を載せて、重さを量ります。
次に、食塩をビーカーの中に入れて完全に溶かしたあとで、 もう一度、重さを量ります。
塩が水に溶けるとなくなってしまうなら、後のほうが、軽くなるはずですよね。
電子天秤は数が足りないので、上皿天秤を使う班もあります。
が、これがまた大変・・・(後述)。
すでにお分かりの通り、この実験では、「変わらない」が正解なので、
なんとかがんばって、「変わらない」という結論に持って行くようにします。
ここまで来たら、次なる疑問は、「水にはものが限りなく溶けるのか?」 まさか!
・・・でも、確かめてみなくっちゃ。
というわけで、次の実験です。
まず、メスシリンダー(初登場!)で、50mlの水を正確に量ります。
48mlまで入れて、そのあとは「スポイト」で合わせていくんだそうですよ。
もちろん、目盛りを「真横から見ながら」です。真剣そのものです。
量り取れたら、乾いたビーカーに移します。
一方で、食塩5gを量りとります。
食塩5gを50mlの水に入れてガラス棒でかき混ぜると・・・溶けました!
表の「1回目」にマルをつけて、次の5gを量りとって同様に溶かします。
溶けたらマルをして、3回目、4回目に進みます。
食塩の溶解度は50mlの水に18g程度なので、4回目で溶けなくなります。
これで、「溶ける量には限りがあった!」という結論に導きます。
他のものだとどうだろう? ・・・ということで、登場するのは、なぜか砂糖ではなく「ホウ酸」。
同じように実験してみると、ホウ酸は、1回目ですでに溶け残ります。
「溶ける量は、ものによって違う!」ことがわかります。
じゃあ、もっと溶かすにはどうしたらいい?と聞いて、
「温めると溶けるんじゃないか?」
「水を増やせば溶けるんじゃないか?」
という意見が出たところで、次の実験ですが、長さの都合で続きは次号・・・。
さて、恒例の「落とし穴」ですが、
・溶かした後、薬包紙を載せ忘れて「軽くなった!」と結論する子が出る。
・学校の上皿天秤は狂っていてなかなか水平になってくれない。
・重い分銅はピンセットで持てなくて落としたり、指でつまんだりする。
・微量調整用のペラペラした分銅を飛ばしてしまう子が出る。
・その結果、分銅セットがすべてそろっていることが稀。
・「重いほうから載せて軽いものに変えていく」というのがなかなか理解できない。
・右利きは右の皿、左利きは左の皿に分銅を載せないと、やりにくい。
・メスシリンダーに食塩をぶちこむ子が出る。
・こぼれた食塩をなめちゃう。
・ホウ酸は薬品だからなめない!と言ってもなめちゃう子が出る。
理科室にあるものは、基本的に口に入れない方がいいと思いますけど・・・。
子供はかわいいですねえ。
塩とくれば砂糖、としたいところですが、
お砂糖は水に限りなく溶けてしまうのでダメなんですね。
(食べちゃう子も出そうですしね。 )
話を聞いてたら、「上皿天秤」が欲しくなってしまいました。
ピンセットで分銅を入れ替えながら、つりあいの取れるところを探していく・・・。
電子天秤なら一瞬だけど、たまには贅沢に時間を使った秤量もしてみたい・・・
と思うのは変でしょうか。
次回は、後編をお送りします。
水にものをもっと溶かすにはどうしたらいいか?
そして、溶かしたものを取り出すことはできるのか?
を確かめる実験をやります。
お楽しみに!
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