「カタルパさん」の親子鑑定
昨年秋にリーゾのウェブサイトをリニューアルしてから、
リーゾのことを全く知らなかった方からのお問い合わせやご相談が増えています。
そのひとつが、熊本の樹木医さんからご相談いただいた、「カタルパさん」の親子鑑定です。
ご相談の内容は、なかなかドラマチック。
明治16年頃、新島襄が徳富蘇峰にカタルパ(アメリカキササゲ)の種子を送りました。
(新島襄といえば同志社大学の設立者、
大河ドラマ「八重の桜」の八重さんのだんなさん(オダギリジョーさん演じる)ではありませんか。
それだけでわくわくしちゃいますよね・・・。)
その種子から芽生えたカタルパは、熊本市の「徳富記念園」敷地内で大きく育っていたのですが、
残念ながら昭和33年の台風で倒れて枯れてしまったそうです。
でも、そのカタルパの子供たちは、同志社大学を始め、日本のあちらこちらで命をつないでいます。
そこで本題ですが、熊本市内にある「熊本市立菱形小学校」で大切にされている、
シンボルツリーのカタルパさんが、
問題のカタルパさんの子供なのかどうか(種子から発芽したものか、挿し木か株分けか)が知りたい、
可能性があるのかどうかだけでもわからないか・・・?
というのがご相談でした。
DNA鑑定で何とかなるのでは・・・ということで、インターネットを駆使して調べてみましたが、
カタルパ自体のDNA塩基配列情報自体がほとんど皆無の状態であることがわかりました。
アメリカキササゲ、という名前を持つものの、ササゲとは無関係で、
マメ科ではなくノウゼンカズラ科の植物なのですが、
そのノウゼンカズラ科自体のゲノムもあまり解析されていないようです。
ゲノムが未解読の生物種でDNA鑑定を行うのは、現実的にはすごく難しいです。
ゲノム解読してマーカーを作成して・・・とちゃんとやろうとすれば、
ウン百万~ウン千万クラスの研究プロジェクトになってしまいます。
が、もちろんそんな規模の費用はかけられません。
「無理」とお断りするのは簡単なのですが、思い返せば「イネゲノム」だって最初は未知の世界への挑戦で、
なつかしの「RAPD法」でマーカーを作ったりもしていたのです。
手探りで、いろいろ試してみれば、なんとかなるかもしれません。
それでも、「いつまでに」「どんな成果を」「いくらで」出せるかを予測することは難しく、
そもそもできるという保証もないので、ビジネスとして見積を出すわけには行きませんでした。
そこで・・・。
空き時間とリーゾの手持ちの機器、それに技術と知識で(つまりはお金はかけないで)、
その代わり成功の約束もなしで、ご協力させていただくことにしました。
歴史と文化と「思い」を次の世代に受け継ぐプロジェクトは立派な文化事業。
リーゾ5年目にして始めての「メセナ」です。
(メセナって、必ずしも資金じゃなくてもいいそうですよ!)
どうなることかわかりませが、樹木医さんと、徳富蘇峰記念館の皆さん、
それに菱形小学校の子供たちといっしょに、
歴史ロマンを感じながらじっくり進めていきたいと思っています。
ご相談をいただいた、熊本県の樹木医さん、今村順次さんのウェブサイトはこちらです。
http://jumokui.sakura.ne.jp/profile/index.htm
(お嬢さんと、「親娘で樹木医」さんでいらっしゃるんです。素敵ですよね・・・)
徳富記念園のウェブサイトはないのですが、参考になるサイトはこちらです。
http://www.yado.co.jp/kankou/kumamoto/kumamsi/tokutomi/tokutomi.htm
(カタルパ2世の写真もあります)
そして、熊本市立菱形小学校のウェブサイトはこちらです。
http://www.kumamoto-kmm.ed.jp/school/e/hishikataes/
トップ写真のグラウンドをクリックすると、問題の「カタルパさん」の写真も見つかりますよ!
とても立派な木です。
まだ見ぬ「カタルパさん」との不思議なご縁を感じている、
リーゾのHPはこちらです。
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