脂質の多い種子からのDNA抽出(続き)
前回の記事で、
菜花の種、ひまわりの種(中身)、かぼちゃの種(中身)から、
DNAすいすい-Lを使って、DNAを抽出してみました。
まずは濃度測定。
菜花の種(10粒からスタート→50μlに溶解)
・核酸濃度:700ng/μl
・260/280比:1.96
ひまわりの種(中身1粒分からスタート→50μlに溶解)
・核酸濃度:657ng/μl
・260/280比:1.92
かぼちゃの種(中身4分の1粒分からスタート→50μlに溶解)
・核酸濃度:202ng/μl
・260/280比:1.85
RNAも含まれる抽出法なので、「核酸濃度」としました。
ちなみに波形は、いずれも260nmにピークがあるきれいな波形でした。
次に電気泳動で見てみます。0.8%のアガロースゲルに、10μl分を載せて泳動。
左から、菜花、ひまわり、かぼちゃ。
右端は、DNAすいすい-Sで米2粒から抽出したDNAです(参考)。
米に比べると、他の種子では含まれるDNAの量がだいぶ多いことがわかります。
ゲノムDNAは一番上のバンド。
中央あたりのバンドはRNAで、最下段のバンドはおそらく多糖類かと思います。
これで、DNAが取れていることは確認できました。
次に、取れたDNAでPCR実験ができるかどうか?を確かめます。
プライマーは、植物なら何でも増える18S用のオリジナルプライマー(214bp増幅)です。
鋳型として、得られたDNA溶液、15倍希釈、225倍希釈を各1μl用いました。
どれも増えました!
原液のままだと若干弱いものもありますので、
ある程度薄めて使うのがよいようです。
すりつぶすと、ねっとりペースト状になってしまうような脂質の多い種子からでも、
簡単な手順で十分なクオリティのDNAを抽出することができました。
開発時点での確認実験では、
落花生やゴマのほか、
(焙煎して塩味をつけた)スナック用のアーモンドやピーナツ、
マカデミアナッツ、カシューナッツ、ジャイアントコーン、
それになんと「ピーナッツバター」からも、
DNAが取れています(取説にデータあり)。
発芽させて葉っぱからDNA抽出すれば比較的簡単ですが、
発芽には時間がかかりますし、そもそも発芽しないものもあります。
そういう材料からのDNA抽出が必要なときには、DNAすいすい-Lをお試しください。
・・・ところで、今回の結果を見る限り、プロトコルの工夫でRNAも取れそうな気配です。
いずれ検討してみようと思っています。
こちらもご期待ください。
リーゾのHPはこちらです。
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