Dとれプロ⑰シアノバクテリア
DNAすいすいシリーズを使って、こんなものからDNAが取れるかな?プロジェクト、
略して「Dとれプロ」第17弾。
久しぶりの登場です。
今回のお題は、「シアノバクテリア Calothris sp.PCC7716株」。
日本大学生産工学部 教養・基礎科学系の
片山光徳様よりご提供いただきました。
細胞が一列につながった糸状性の株です。
実物は、「生のり」?か「アオコ」?みたいな感じで、
ピペットチップの先でひっかけて、抽出用チューブに取り分けました。
細胞が硬く、かなりの難敵とお聞きしていたので、
バッファーは細胞壊しが得意なものを3種類試しました。
(DNAすいすい-F、DNAすいすい-E、DNAすいすい-W)
菌体50mg分にバッファー500μlを加え、よく振り混ぜます。
あえて、粉砕は省略してみました。
左から、F、E、Wです。
細胞を壊し、DNAを溶かしだすため、60℃で30分インキュベート。
左から、F、E、Wです。
いい感じにバッファーが着色しました。
経験上、こうなっていれば大概DNAは取れます。
フェノクロ、イソプロ沈を行い、50μlの水に溶かして10μl分を電気泳動。
左から、F、E、Wです。
FとEはゲノムDNAのバンドがはっきり見えています。
(Wは見えません。少しはあるのでしょうが、明らかに少ないのでボツ。)
波形を確認したところ、きれいな波形で260/280比も1.8~1.9の間でした。
が、低分子領域に非常に明るいバンドがあるので、
DNA量はODではなく電気泳動で概算する方がよさそうです。
だいたい100~300ngくらいは取れているかなと思います。
この結果から、シアノバクテリアCalothrix.sp. PCC7716株からのDNA抽出には、
「DNAすいすい-F」をお勧めしました。
薄くRNAのバンドも見えているので、このバッファーをベースにして工夫すれば、
RNAも取れそうです。
さらに、今回は「粉砕なし」で行いましたので、
乳鉢ですりつぶす、ビーズで破砕する、などの工程を加えることにより、
収率の向上をはかれそうです。
「DNAすいすい-F」は、「魚類体表粘膜・組織向け」としてあるのですが、
唾液、肉、枯草菌、シアノバクテリアといろいろなものに向いていることがわかり、
いったい何向けと書いたらいいのかわからなくなってしまいました・・・。
ともあれ、お役に立てて何よりです。
片山様、貴重なサンプルを、ありがとうございました。
DNAすいすい-Fのご案内はこちらです(・・・改訂しなくては!)。
http://www.rizo.co.jp/DNA-F.html
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