Dとれプロ⑨金魚からのDNA抽出
DNAすいすいシリーズでこんなものからDNAが取れるかな?プロジェクト、
略して「Dとれ」プロ第9弾、「金魚」です。
ずっと前からさんちゃんに協力してもらうつもりでしたが、
このたび本人の快諾が得られましたので(*)、ついに挑戦します。
(*:推定です。)
まずは体表粘液。綿棒でそっとこすります。
魚体を痛めずにすむので、これでDNAが取れれば一番です。
体表粘液だけでは不安なので、ハラビレもちょっとだけもらいました。
ほんとうにほんのちょっと、湿重で1㎎程度です。
ちなみにハラビレをカットしても血はでませんし、
もちろん再生しますのでご安心を・・・。
さんちゃんには水槽にお帰りいただいて、DNA抽出に進みます。
バッファーは、「これでいけるのでは?」という組成で2種類、調製してみました。
それぞれ、「綿棒(粘液)」「ヒレ」の入ったチューブに400μl注ぎ、
60℃で15分保温します。
保温後のヒレはこんな感じです。
綿棒の方は、見た目は変わりません。
タンパク質の除去のため、フェノール・クロロホルムを150μl加えて混合し、
遠心します(綿棒は入ったままで行いました)。
上清200μlをイソプロ沈してリンス。
沈殿を50μlの滅菌水に溶解しました。
ここでPCRですが、金魚なので、金魚(淡水魚全般)の18SリボゾーマルRNA遺伝子上に
設計・合成した特製プライマーを使いました。
その結果・・・
増えました!
特に体表粘液の方は、100倍希釈して1μlでも十分なので、
PCR5000回分以上取れていることになります。
体表なので、バクテリアなどのDNAも共存しているはずですが、
とりあえず淡水魚のDNAが大部分を占めていると推定できます。
抽出されたDNA量を吸光値より計算したところ、
・体表粘液は8~10μg
・ヒレは3~8μg
のDNAが得られていることがわかりました。
ゲノムの電気泳動でも、かなり分子量の大きいDNAが取れていることが確認できました。
魚類の体表粘液・組織からの簡便なDNA抽出バッファーとして、
商品化準備中です。
⇒商品化しました!
「DNAすいすい-F」のご案内はこちらです。
http://members3.jcom.home.ne.jp/rizo.inc/DNA-suisui-F.html
体表粘膜に寄生・感染した病原菌の同定などにも使えそうですので、
そちらの方も別途、検討する予定です。
【蛇足】
「オフィスで孵化した稚魚の親は誰?」その後の情報ですが、
1.しっぽがミューズより大きくひらひらしている
2.しっぽが黒い(ものがいる)
というわけで、おそらく母親はさんちゃんと思われます。
9匹に減りましたが、すでに「金魚」といえる体型に成長しました。
今後が楽しみです!
リーゾのHPはこちらです。
http://members3.jcom.home.ne.jp/rizo.inc/
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お久しぶりです、管理人様
すごいですね、金魚の病気診断できるように成ったら、
株買い占めます、株式上場する前に、教えてください。
よろしくお願いします。
(^_-)-☆
投稿: 金魚屋 | 2010年6月 9日 (水) 18時22分
金魚屋さん、久々のコメントありがとうございます。
もし、金魚屋さんのところで病気の金魚が出たら、ご一報ください。
(検査方法の陽性対照が手に入らなくて困っていますので)
ご協力よろしくおねがいします!
投稿: 管理人 | 2010年6月10日 (木) 21時17分
今晩は、管理人様
どんな病気、の金魚必要でしょう?
今年は、気温の変動が大きく、病気出ました。
細菌性、ウイルス性、寄生虫、色々御座います。
原因が断定できる、金魚が必要ですか?
お知らせください。
投稿: 金魚屋 | 2010年6月10日 (木) 21時35分
金魚屋さん、ありがとうございます。
(つづきはメールでお送りしましたのでそちらを見てください!)
投稿: 管理人 | 2010年6月12日 (土) 13時53分