Dとれプロ⑧フェノクロなしに挑戦
DNAすいすいシリーズでこんなものからDNAが取れるかな?プロジェクト、
略して「Dとれ」プロ、第8弾です。
最近、お客様から「なるべくフェノクロ処理は避けたい」という
ご要望が多く寄せられています。
DNA抽出の実際の作業は、非常勤の実験補助の方に依頼するケースが多く、
有害な有機溶媒の使用はお願いしにくい、という事情があるようです。
DNAすいすいシリーズでは、きれいなDNAを得るために、
基本的にはフェノクロ処理による除タンパクのステップを入れることをお勧めしていますが、
得られるDNAに求めるグレードによっては、フェノクロ処理が要らない場合もあります。
「PCRレベルのDNAが取れればいい(できれば簡単に・・・)」
という場合向けに、フェノクロなしでどうなるかをいろいろな材料で
検討してみたいと思います。
手始めに、お問い合わせの多い「ナス科植物の葉」をためしてみました。
材料は、ナスの葉(左)と、ジャガイモの葉(右)です。
それぞれ約40mg、約10mgをカットしてチューブに入れ、
DNAすいすい-P(バッファー360μl+添加剤40μl)を加え、
「ディスポのペッスル」でつぶしました。
本来ならここでフェノクロですが、加えずにそのまま遠心。
上清300μlを回収して等量のイソプロを加え、再度遠心。
かなり大きなペレットが出現しました。
100μlの水を加えて溶解しましたが、不溶の部分が若干残りました。
(取り除けなかったタンパク質と推定されます)
でもDNAは溶けているはずなので、不溶の部分は遠心で固め、
上澄みを取って濃度を測定。
ナス(40mg):280ng/μl
ナス(10mg):102ng/μl
ジャガイモ(40mg):250ng/μl
ジャガイモ(10mg):150ng/μl
電気泳動してみたところ、RNAがかなり混ざっており(画像省略)、
DNAは半分程度と見た方がよさそうです。
いつものプライマーでPCRをかけてみました。
10分の1希釈して1μlを鋳型とした場合もちゃんと増幅しました。
ということは、PCR1000回分取れていることになりますね・・・。
次に「ミニトマト」でやってみました。
ちょうど花も咲き、小さな実もあったので、
「葉」「ガク」「未熟果実」「花」で試しました。
サンプル量はそれぞれ約30㎎(ガクは60㎎)です。
こちらも全てDNAが取れ、PCRがかかりました。
というわけで、「DNAすいすい-P」でナス科の野菜の葉(など)から、
フェノクロなしでDNAが取れることがわかりました。
生の植物体なら、出発材料は~10㎎程度でじゅうぶん、
粉砕も「軽く」でOK、なようです。
・・・なにより、フェノクロなしは楽だし安全、確かにいいですね。
ラボのために日々がんばってくださるパートさんの健康のためにも、
「DNAすいすい」お勧めです!
今回使用しました、「DNAすいすい-P」のご案内はこちらです。
http://members3.jcom.home.ne.jp/rizo.inc/DNA-suisui-P.html
ほかにもいろいろ、「農」の研究の、お役立ちアイテムがありますよ。
リーゾのHPはこちらです。
http://members3.jcom.home.ne.jp/rizo.inc/
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